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セミナーA
「モーショングラフィックス」

田中秀幸(映像デザイナー)
原田大三郎(CGアーティスト)
菱川勢一(ドローイングアンドマニュアル、クリエイティブディレクター)
コーディネーター:中島信也((株)東北新社取締役、CMディレクター)

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■SeminarA

中島信也氏

●中島:私はCMのディレクーで広告専門でして、自己紹介がてら私の作品をご覧下さい。 (映像)
今日はクリエーター3人の作品をたっぷり見て、心を開いて感じとっていってもらいたいと思います。 まずは気分はほとんどニューヨークといった感じのニューヨークで修行され日本で大活躍のクリエイティブディレクター菱川さん、お願いします。
(菱川さんの作品映像)

●中島:「モーショングラフィックス」という言葉は最近使われ始め、1997年頃と言われています。デジタルモーショングラフィックスなど、いろんな所で使われていますが、実は昔からあったことなんだと、このセミナーを通 して解き明かされていくわけなんですが、菱川さんはツールを創る際には、主に自分のG3を使って作業をするんですか?


菱川勢一氏

●菱川:そうですね。今はG4ですが。以前、ポストプロダクションに勤めていた頃、僕は編集作業のオペレーターとして、つないでいく作業をしていました。ラッキーだったのは、アメリカのプロダクションだったので、監督が自由に自分の思うまま編集させてくれた事。
オペレーターの僕にもデモテープが用意してあり、監督などがその編集を見て、これなら今回のプロジェクトに良さそうだな、という感じで仕事の依頼が来ましたね。なぜか、僕のところにはミュージック関係が集まってきて、それがカットの早い編集でフレームでつないでいくような細かい作業ばかりなんです。「お前は日本人だな」「細かいな」と言われるくらいでしたね。フィールドを切るにはどうしたらいいか?など悩んでいましたね。

●中島:フィールドというのは、フィルム映像は1秒に24コマですが、VYRですと1秒に30コマあり、その1コマは2フィールドに分かれてまして、フィールドですと60コマの絵が入ります。その分、目に見えないような効果 がでてくるわけですね。

●菱川:その当時、人間は何フレームまで文字を認識できるのか?などの実験をしていましたね。

●中島:あとで、菱川さんが持ってきてくれたモーショングラフィックス検証VTRというものを見ていただくことにして、次はルナシー、TMネットワークと言えばこの人、元祖ビジュアルパフョーマーとも言える原田大三郎さん、お願いします。

 

原田大三郎氏
原田:1985年頃、VHSの家庭用のビデオが出てきて、それを使ってビデオアートと言われるようなジャンルの作品を作っていて現在はVJをしている、という人もいるのでは。実は僕もその頃からビデオアートを学んでいて、何か派でなことをしたいという思いから、バンド活動もしていました。いわゆる映像と音楽を同時にコンサート形式で演奏しようという事でやっていました。1985年の筑波科学博覧会にジャンボトローンを使ってライブパフォーマンスすることになり、最初から最後まで戦争ものの爆発シーンをフレームでどんどんつないで90分ほど流したことがあり、ちょっとしたカルトムービーのようになりました。その映像はプレミアまでついているそうですが、残念ながら僕も持ってないんです。だんだんとVTRの限界というものを感じて、つまらなくなりやめてしまいました。レーザー光線をコンピュータでコントロールしたり、あるいはミュージックムービーを作ったりしていました。1993年にYMOが再結成した際、2日間東京ドームでコンサートが行われたのですが、その時の映像をご覧ください。 (映像)
この時は東京ドーム初、85mという大きなスクリーンを使用しました。特殊ビニール製で外国から取り寄せたものでした。その後、コンピュータグラフィックを本格的に取り組んだり、坂本龍一さんと映像を使ったツアーを行ったりして、去年からミュージック関係の仕事が多くなり、ルナシーというバンドの映像監督をしていました。もうバンドは解散しましたが、東京ドームで行われたコンサートをご覧になっていただきたいと思います。この時はスクリーンサイズは65mで、9台のプロジェクターを備え、以前のYMOの時は20数台かかっても薄暗かったのが、10年近くたつと、9台のプロジェクターで出来てしまい、なおかつ明るいのです。プロジェクターからスクリーンまで85m離れているにもかかわらず、光がしっかりスクリーンまであたっていて、僕自身も驚きました。僕はいつも映像ブースを作ってもらって、そこからスクリーンを見ながら、スイッチを両手同時に使いながらコントロールしています。余談ですが、コンサートの際、タオルなどの物販が2日間で3億数千万円の売上げがあり、その事が東京ドーム新記録だったそうです。では、コンサート映像をご覧下さい。(映像)

中島:しびれますね。5万人ものお客が入っているわけですからね。映像を作っていくための準備というものがあると思いますが、事前に曲目をかなり聞き込んでから創られるのですか?

原田:そうですね。でもルナシーの場合、曲名と曲調が一致しないものが多く苦労しましたね。ツアーの会場でその場で作っていくようなこともあります。 ルナシーと同時にTMネットワークというバンドのツアーもやっておりまして、このツアーは東京ドームやアリーナ会場とは違って1,500〜2,000人の会場で、特殊な液晶シャッター付スクリーンというものを使っています。これは、液晶の特有で電気を通 すと透明になり、通さないと不透明になるというもので、スクリーンの後ろにいるメンバーが見えたり、見えなくすることができるわけです。ではその映像をご覧下さい。(映像)

●中島:慎吾ママの「おはロック」と言えばこの人、田中英明さんです。
 

田中秀幸氏
●田中:まずは電気グループというバンドのプロモーションビデオをご覧下さい。 ー映像ー コンピュータグラフィックを使って、くだらないようなポップな事をやりたくて、そういう自分のやりたいことがそのまま表現できたら誉められるんじゃないかと思ってましたね。全般 に基本的スタイルとしては、思いのまま自由な感覚で創っていることですね。では、その他の映像も見て下さい。(映像)
その辺で撮ってきたビデオを使って趣味で作ったものです。マックの編集ソフトと音楽関係のインターベースとがよく似ていることに気付いて、映像と音楽との遊び心で創ったらおもしろいものができたという感じですね。 次に紹介するのは「おはロック」。これはフジTV番組「サタスマ」のアートディレクションの仕事をしていたことから、プロモーションビデオの依頼を受けたわけです。(映像)

●中島:講師3人の作品を見てきたわけですが、モーショングラフィックスとはどういうものなのか?より明確にしていくために菱川さんが持ってきてくれた検証VTRを見ていきたいと思います。
(映像「検証1 音とシンクロさせたロゴマーク」)
(映像「検証2 音とシンクロさせた文字・数字」)
(映像「検証3 撮影された文字・数字」)
これ1975年に創られたものですよね。すごいですね。これはモーショングラフィックスと呼べますか?

●原田:そうですね。「音とシンクロさせた」という呼び方の問題で、要はディズニーのファンタジアみたいなもので、僕はそれを見てたから、こういう仕事を始めたきっかけにもなったし、トム&ジェリーも興奮して見てました。とてもおもしろかったですね。

●菱川:撮影された文字・数字というのがありましたが、前に会社のロゴマークの研究をしていた時に、緊張のロゴマークというのがあり、これこそモーショングラフィックスだろういう意見が多かったです。
ー映像「検証4 物理的な現象を利用したタイトル」ー

●中島:僕らの年代は「ウルトラマン」シリーズはみんな見てましたね。円谷プロに聞いた話しによると、ペンキの顔料で実際に描いたものをどうやったらいいか、試行錯誤のうえ出来たものらしいですけど、これなんかはモーショングラフィックスではないですか?

●菱川:この年代、映画のメインタイトルなどにインクを垂らして作るものは多いですね。 当時は苦肉の策と言いますか、コンピュータがなかったから、ストップモーションを使うか、撮影するか、の方法ぐらいしかなかったのだと思います。

●中島:そうですね。当時はセル画に描くか、コマ撮りのアニメーションを創るしかなかったですからね。アニメーションを創る、ということが分かれ目になってることはないですか? 1コマ1コマをどう管理するか?ということに何か秘密がありそうな感じはしますが。
(映像「検証5 電光掲示板」)

●中島:お店の人の直接的な心意気を感じますね。これは完璧にモーショングラフィックスでしょう。田中さんは好きでしょう。

●田中:そうですね。電光掲示板は一度、やってみたいですね。電光掲示板的なものを映像で創ることはしていましが。
(映像「検証6 ストップモーション技法を用いたアニメーション」)
(映像「検証7 絶妙なタイミングのタイトル(テロップ)」)
(映像「検証8 人体を用いたグラフィック」)

●中島:以上で検証VTRを全て見てきたわけですが、逆に話しがはっきりしなくなってしまいましたが。検証を通 して、皆さんの頭の中に何だろう?という気持ちがでてきたと思いますが、ここにおいでるクリエーターの3人は、始めから「モーショングラフィックスを創ってやるぞ」という感じではなく、結果 としてモーショングラフィックスという形のくくりになっているんだと思います。音とのシンクロということがありましたが、3人に共通 して言えるのは、非常に音楽通ですよね。東京芸大で美術科と音楽科とが違うように、絵を描いている人は音楽をやってもギターを弾く程度だったのが、だんだん音もデザインするという事になってきて、原田さんのように映像を演奏するといったように、音楽との関係がポイントなのではないかと感じました。 ここで、いくつか質疑応答という形で会場の皆さんから質問を受けたいと思いますが、何かありませんか?

●質問:皆さんは文字も自分でデザインされているのですか? 菱川:デザインしたり、しなかったり。最近はデザインしますね。

●田中:僕も同じで、デザインしたり、しなかったり。

●原田:あんまりしませんね。3D化する時にどうしようか?というのはあります。

●中島:今の質問で思ったんですが、映像と言っても映画を見るのとは違って、皆さん1つのオブジェクトとして扱っているという形があると思います。文字をデザインすることよりもそのあとの方が大事で、例えば菱川さんの場合、CIで決まったロゴをどう動かすかによって新しい表現を出しているんですね、モーショングラフィックスの1つのポイントに、止まっているものをどうやって三次元化するか、動きをつけるか、音をつけるか、という事が大事なんだと思います。

●原田:例えば、イラストレーターで創ったものが合成するソフトにも活用でき、ベジェ曲線が3Dソフトで出来てしまうなど、いろんなソフトを使って出来るようになり、WebのFlashソフトのアニメーションなんかもその大きな影響だと思いますね。

●中島:あるツールで創られたものが他のソフトウェアで動かすことができる、ベースになっているのは、やはりパソコンの発達が大きなことですね。自由にやりたいことが出来るようになってきたということだと思います。他に質問は?

●質問:1つの作品に莫大なグラフィックが使われていると思いますが、その映像設計の組み立て方に興味があり、1つ1つの要素を創り込むのに能力がかかるはずですが、どういった手順で進めているのですか?

●菱川:クリエーターによって違うと思いますが、パソコンの普及はとても創りやすくなりました。僕はどちらかというと編集・構成を武器に創っていくタイプで、昔はちょっと凝ったこと事をしようとすると膨大な時間がかかってしまい、試しにという試行錯誤ができなかったんですが、最近はそれがどんどん解消されて、映像設計は?と質問にありましたが、要は試行錯誤を繰り返すことなんです。自分のパソコンで編集・構成ができるようになって、何回も何回もやりながら考えていきます。例えばパーツごとに実写 の素材をどう切っていくかを考え、少しずつ粗い編集から始めます。ただ、試行錯誤している中での一番の課題はクライアントの説得ですね。プレゼンテーションには毎回苦労します。1秒間に幾つも切ってあるような数フレーム単位 で編集するものをなかなか口頭で説明できないんですよね。創っていく過程で見せていったり、時間がある場合は頭の部分だけを事前に創って見せながら説明します。

●田中:プロモーションビデオなどを創っていく過程においては、8割〜9割は最初のうちに、イメージですることを全て紙に書いて決めてしまいます。撮影するスタッフなどいろんな人が関わってきますので、最初に決めておかないとあとでいじめられちゃいますので。その最初のアイデアについては、遊びで創った時のものなどをストックしておいて参考に使ってます。最初ご覧になったCG映像においては一人ではやりきれなかったので、何人かが手分けして創ったんです。まず手描きの絵でビデオコンテをつくり、レイヤーでの分担作業をして、出来た部分からはりつけて仕上げました。途中チェックがなかったので、割と早く1ヶ月で出来ましたね。

●中島:制作過程での段撮りみたいなものはどうですか?

●原田:1ヶ月間でVTRを仕上げる仕事と、コンサートのように1ヶ月で90分創る仕事という風に仕事のタイプによって違うと思います。僕は仕事がらミュージシャンと話すことが多く、例えば曲を色でたとえることがあって、その色の並びを考えながら構成することがありますね。「赤でいこう」なんて巨匠型コミュニケーション風に創ることも。ただその場合、人にどう説明していいかわからず発注できずに、ただひたすら自分で創らなければいけなくなるので、大変ですね。

●中島:要は皆さん、頭の中で考えながら創っていくといった感じでしょうか。三者三様の創り方はあるようですが、いずれにしても試行錯誤を繰り返す意味でもシミュレーションができるという面 ではパソコンは非常に便利ですよね。映画撮影などだと、たくさんのスタッフを動かすわけで、取り直しのできない一発勝負といった中、最初のうちに決めておかなければいけないことはありますが、パソコンでは自分でコントロールができ、仕上がりも予想でき、なおかつやり直しもできるといったところが便利ですよね。 あと質問はありますか?

●質問:だんだんマンネリズムを感じてしまうのですが、皆さんは行き詰まりなどを感じることがありませんか?

●菱川:検証VTRのねらいの一つとして、パソコンやハイテクを駆使した新しい表現=モーショングラフィックスではないんだということを言いたく、モーショングラフィックスは昔から存在していて、それが最近になってデジタルを駆使して様々な表現ができるようになったということなのです。決して新しい表現がモーショングラフィックスではないということ。マンネリズムと質問にありましたが、モーショングラフィックスはCMをはじめ、様々な分野で見られるようになったということでしょうが、僕の場合は試行錯誤を繰り返している中でおもしろい発見が毎回ありまして、それを次に活かすなどして、少しずつ変えてます。

●田中:昔とは違い、コンピュータで表現手法が簡単に真似できてしまうことがマンネリに見えてしまうのかなと思います。
 
(セミナーでの発言から一部を抜粋して掲載しています)
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