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セミナーD
「未定のコラボレーション」

粟田 麗(女優)
石井聰亙(映画監督)
勝本道哲(工学博士)
コーディネーター:小野川浩幸(作曲家、音響デザイナー)

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■SeminarD

小野川浩幸氏

●小野川:勝本さんいらっしゃいましたら、檀上に上がっていただけませんか。(拍手)この会場で昨日のフォーラムに来ていただいた方、どれくらいいらっしゃいますか。とても細かいことをやっていました。一部の席には床にウーハーが埋められていて、天井には真正面 に音を伝えるスピーカーや、線で音が進むスピーカー、それから360度の無指向性のスピーカーなど、いろんな特性のスピーカーを混ぜていました。天井のスピーカーが移動して、いろんな効果 を出していました。各スピーカーの説明を担当した田口氏にも登場していただきます。  石井監督と一緒にやっているバンドのギタリスト上野さんが昨夜のパフォーマンスを担当してくれました。昨日のイベントでは、天井のスピーカーをおじさん2人が人力で引っ張っていたんですけど、本当はリニアで飛ぶように移動させたかったんですが(笑)まだ曲がったりするのは危ないということで。

●石井:今日来る予定だった松蔭さんが来れなくなったので、その分映画の話が多くなると思いますが。昨日のパフォーマンスで会場に流したのは、撮影が終わった新作の映画の映像だったんですが、現在編集中のその中の一部を今回のパフォーマンスにあわせて提供したものです。ここで、映画の新作の話をしていいですか。(会場から拍手)
3つに分かれていて、出だしは全部同じなのですが、何者かに追われている男が3人いて、それが浅野君と永瀬君ともう一人、伊勢谷君です。男3人が逃げていて、話が3つに分かれます。永瀬君のハードボイルドと浅野君の恋愛アクションと、実は昨日お見せしなかった第一話があって、先ほどお話しした伊勢谷くんと今日きていただいている女優の粟田さんが出ているんです。ハードボイルドからミュージカルになるという作品なんです。
実は、北村さんという有名なスタイリストの方が、昨日のイベントに来てくれて、金沢出身で20年ぶりに帰ってきたそうです。その彼女が映画の衣装を担当してくれているんです。昨夜のあのスピーカーのシステムもできれば、この映画の上映で試してみたいので、実験として試みたわけですが、今回はじめてみなさんにお見せできたのです。実は、粟田さんのでているパートは、編集中なので、まだお見せできないのですが、リハーサルを撮ったものがありますので、練習を人に見せるというのは女優さんに失礼だと思うんですが。
(粟田さんのミュージカルのパートのDVDを上映)


石井聰亙氏

粟田 麗氏

●粟田:結構激しい動きのあるシーンでした。私の基礎はクラッシックバレエなんですが、とても難しかったです。 歌は初めてだったので、すごく難しくて、素人なので今も気になっているんです。大変だったのですが、小野川さんに助けていただきました。

●石井:ミュージカルはぜひ本格的につくりたかったんですけど、最初に曲をつくらないといけないみたいなので。

●小野川:僕もなぜ曲が最初にいるのかわからなかったんですけど。

●石井:撮影前にすごい準備がいるし、ほとんどできあがってないとできないということです。

●小野川:監督の新しい作品は、昨日のライブみたいにポップで今までになかった激しい領域にはいったかなという感じです。

●石井:はじめての経験だったと思うけどどうでしたか?

●粟田:撮影はめちゃめちゃ楽しくて、いままでにない経験でした。詩をその日に録音して、その後で振り付けを考えて・・・

●石井:共演の彼は踊るような予定ではなかったんだけど、カラミの関係でやはり一緒に彼も踊らないといけないということで。

●小野川:ここで、昨日のパフォーマンスで流した映像をご覧ください。 (映像を上映)

●石井:映画というのは、シナリオがすごい計算なんです。例えば、音楽や衣装とか、演技もそうだと思うけど、インスピレーションが曼陀羅のように組み合わさっているもので、インスピレーションの構成を計算しないといけない。娯楽映画として、理解されないと思うんです。 今回の映画は、デジタルシネマということで、フィルムで撮っているんですけど、編集はすべて、デジタル技術を使ってやろうということなんです。そこのところを仕掛け人である勝本さん、話していただけませんか。


 
 
 
 
 
 

勝本道哲氏
●勝本:デジタルシネマというよりも、いままでのメディアという話でテレビがモノクロからカラーになって、ハイビジョンになったということですが、それは、送り手側からいって、単純に映像がきれいになっていったということだと思うんですけど、デジタルシネマというのは、単純にDLPで映し出してということじゃなくて、DLPというのは、デジタルの映写 機なんですが、それは、単純に映画そのものは何も変わっていないわけです。 映画のフィルムを一本見てしまえばこれで終わりです。
例えば、さっきの作品も、3つの話が順番にあるだけです。けれども、その順番や組み合わせが、いろいろ変わっていく。見るたびに話が変わるというか、映っているから見るんじゃなくて、意識しないと見れない。もうほとんどゲームといった感覚のもの。みんな参加する、参加しないと置いていかれちゃうということでないかなと。

●石井:僕はアナログ人間なんだけども、小野川さんはいきなりコンピュータ音楽を始めたんですよね。

●小野川:僕は何も楽器が出来なかったので、いきなりコンピュータではじめたんです。コンピュータが相手だと何にも文句言われないし、バンドには何も興味がなくて、自分がやりたいことを延々やって行くにはコンピュータが良かったんです。でもコンピュータを使っていても、自分はアナログ人間と思っているんです。十数年コンピュータを使っていて、その間に使ったソフトが2つか3つしかないんです。シーケンスソフトなんですけれども。ひとつのものをずっと使うことによって、楽器に近い感覚です。デジタルを収れんしてアナログの楽器のように使っているということです。でも、実際は機能が多すぎて、能力の10分の1も使っていませんけど。

●勝本:どうしても技術から入ると、あれもできる、これもできるということで、いろいろな機能をつけてしまうんですけど、実際にそういう機能が全て使われていないなということがよくあるんです。本当にアートなり、何かを生み出す時に、どのテクノロジーが必要なんだということが実際に使ってみてはじめて、分かってくるということだと思うんです。我々技術者とアーティストがコラボレーションしていかないと、本当に21世紀に新しい技術が生まれていかないと思います。

●石井:日本はハードばかりを先行して作ってしまって、それを使いこなすソフトを考えないと思うんです。いい劇場がいっぱいあって、床が大理石だったり、シャンデリアがかかっていたりするのに、何に使うのかが明確じゃない。

●勝本:どうしても技術者は、どう作っていいのかがわからないと思うんです。

●石井:僕は、これまではパソコンアレルギーで、全体のムードがソフト志向です。いまはPower Book G4のようなノートパソコンで編集できてしまいますから、新しいファナルカットというソフトなんか見ると10年くらい使いこなすのに時間がかかりそうなくらい機能が付いているんです。

●勝本:先ほどの映像みたいなものだともう、映像もインターネットで送れるわけなんです。

●石井:もうハイビジョンの映像もリアルタイムで送れるんでしょう。

●勝本:送れます。もう自宅で大型テレビでいつでも見られるようになるわけですが、デジタルという意味を考えてほしいんです。アマチュアもプロも同じ道具を使うんです。ただ、パソコンもコンピュータですから、意外と難しい部分があるわけです。何をどうやって覚えるかではなく、何をやりたいかということが大切なんです。

●小野川:音楽ソフトの場合もほとんどマウスしか使いませんよ。

●勝本:ハサミやノリをもっているわけじゃないですから、やはり何がしたいかなんです。

●小野川:勝本さんはPower Bookなんかの使い方がハードで、6カ月くらいしかもたないそうですね。パソコンを大事に思っていてもしょうがないし、ギターなんかと同じ道具だからということだと思うんです。僕の場合は、コンピュータを使ってますけど。ほとんど分からないんです。普段使っているシーケンスソフトのことしかわからないんです。やはり、マニュアルでめげますよね。百科事典みたいな厚さのものを何冊も別 に読まなくても使えるんですけど。

●勝本:インターネットも、もともと研究者向けの道具だったわけですから。
 
(セミナーでの発言から一部を抜粋して掲載しています)
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