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セミナーB
浴びろ! CM 「広告の映像デザイン」

早川和良((株)Camp KAZ、CMディレクター)
水口克夫(シンガタ(株)、アートディレクター)
米村 浩(ワイデンアンドケネディ、アートディレクター)
コーディネーター:小田桐 昭(オグルビー&メイザー・ジャパン(株)最高顧問、イラストレーター)
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■SeminarB

●中島信也:CMをつくっている人は、ほとんど表に出てこない。実は、金沢美大出身(以下金美)の多くの人が広告の世界で活躍されています。その中でも特に優れた方々を今回お呼びしました。まずは、CM界の黒澤明こと小田桐昭さん。CM界の帝王、天皇、ご意見番とも呼ばれ、優しそうにみえて本当は恐い人なんです。小田桐さんがCMについて書いておられる文をご紹介します。
「僕は広告が大好き。愛しているといってもよい。どんなアートをみるより面白い。広告に出会うごとに感激する。最近のCMについておもしろくないと、そこらのおばさんに簡単に言われたくない。だから僕の愛するCMを何とかしなければとつい思ってしまう。」
●小田桐:中島信也指令を受けなければ後が恐いのでお引き受けしました、1961年金美卒の小田桐です。網走から金沢にやって来ました。ここで過ごした4年間はとっても大きかった。ずっと金沢を愛しています。小立野に下宿していて、金沢が今の僕を育てそこで学んだことが僕を大きくしてくれた。
今回は、その大学の後輩でもある素晴らしい方々をご紹介します。こんなことでもないと一緒に話す機会はほとんどなく、エキサイティングな時間です。では最初に、私の作品をご覧下さい。

(東京海上火災 損害保険ビリヤード)
(三菱鉛筆 GRCTシャープペンの芯)
(東京ADC エイズ予防キャンペーン)
(サントリーホール 10周年)

CMを作る人は2種類います。一つは実際に演出して映像を実現化するCMディレクター。もうひとつは、広告会社で広告のプランニングをする人。映画でいえば、前者が制作会社で、後者がシナリオライター。先ほどご紹介した三菱鉛筆、AIDSのCMは僕がプランナーで、サトミマサタケ、実は金美卒で、3年前にガンで亡くなったが、彼がCMディレクターをした。存命であれば今日ここにいただろうと残念ですが。
先ほどのセミナーAの学生対抗バトルですが、確かに多摩美大はすごいが、金美も結構頑張っていると思う。ブサイクだけど一生懸命作っている。多摩美はどっかプロっぽいところが必ずどっかにある。これは大学と社会が近いから。金沢は大学の街であり、東京に出て始めて社会と交わる。東京の大学は入学した時点で社会に半分足を突っ込んでいる。金美は、社会に出たときの気後れをステップに頑張るのが特徴だと思う。

このセミナーの進め方ですが、それぞれの方にこれまでの仕事を見せて頂き、その作品について質問していきます。特に広告は依頼主の目的を果たすもの。いろんな条件を克服する知的なゲーム。今日はその広告が人の気持ちをどう捕まえるかをを見ることによる、広告のメカニズムを講師の方々にお聞きします。また制約を克服する面白さを話してもらいましょう。
 
 

小田桐氏を紹介する中島プロデューサー
小田桐 昭氏
 

まずは早川氏。1975年金美彫刻科卒。ストリーテラーな作品が得意。彼は学生時代劇団ベレーで演出を手掛けていて、卒業前から電通にきてCM映像の仕事をしたいと言って来てた。その際に劇団ベレーの演出のパフォーマンスの写真集を持って来た。当時、日本天然色映画というCMプロダクション(当時は東北新社もCMやっていないころで、)に入社した。そこは入るのが難しく、ディレクターとして入ったこと自体すごい事で、さらには若くて切れのいい演出家と呼ばれ、当時からストリーテリングが優れていた。劇団での演出で人を動かすことを学び、それが生きている。
●早川:最近は長いCMが少なくなって来てストーリーを見せる機会が少なくなった。先ほどのアニメーションバトルの話に戻ると、自分がいた25、6年前を考えると映像を学校でできるようになった事に驚きを感じる。昔は映像なんかやってなんだといわれ、学問になっていなかった。多摩美と金美の差は無いと思う。それは、金沢のよさは、人の手で作ったものが人を喜ばせることを学ぶ風土があるからだと思う。
(JR東海 シンデレラエクスプレス)
(LARK 高倉健)
(タイ 観光局)
(マクドナルド)
(キリンビバレッジ 聞茶 井上陽水)
(サントリー 和茶)
タイ観光局の作品はタイのCMだが、現地に演出のために行って、自分以外はすべてタイ人だった。また、サントリー和茶は、水口さんがアートディレクターとして企画されたもので、水口さんがミニュチュアの中に夏があるというのを作りたいというイメージの世界観を実現しました。
●小田桐:JR東海の作品ですが、今回見せてもらったのよりその前のが個人的にはすきだ。1980年代後半、それまでのCMがえがく若者はとにかくカッコさえ良ければよく、外人ばかり使っていた。そんな時代だった。このCMは当時、純愛ははやらないといわれていたのに、若者はこの純愛を支持した。
●早川:当時は、その時代を等身大で表すのことは少なくて、新しい生活の夢を描くのが多かった。当時のJRも国鉄からかわり、新幹線が恋人を運ぶメディアであり、同時期に同じく民営化されたNTTの通信と違って、人と人を本当に繋げることを描きたかった。
●小田桐:実はその前のJRのCMは自分が担当していた。人を運ぶだけのものが、ストーリーを運ぶというプランニングを行った。ロマンスや就職など、人の人生を運ぶことをイメージするように提案していた。では、CMを作る際の注意点は?
●早川:30秒の時間でどう伝えるかいつも考えている。起承転結が基本。音楽であったり、ときめき感をどう表現しハイライトまでどうもっていくか常に考えている。シンデレラエクスプレスの場合、向こうから好きな人が突然現れ、とっさに柱の影に隠れたという自分の体験から牧瀬里穂を隠した。
●小田桐:映画だと逢いたい人に出会うまで、長く引っ張れるが、CMでは一瞬で表現しなければならない。そこがクリエーティブの醍醐味でしょうか。●小田桐:次は米村浩さんです。1985年金美卒。当時、博報堂には大先輩の泉屋政昭氏、この方も金美出身でかなり優れた方なのですが、その下にこれまた金美出身で、すごいやつがいると電通まで聞こえて来た人です。米村さんの作風は、直球勝負。核心にまっすぐ向かっていく力強さ、切れ味鋭いというよりずっしり重々しく叩かれるという印象です。サッポロ黒ラベルで日本の広告業界のほとんどの賞を総ナメにされました。その翌年に博報堂を出て、Wieden+KennedyというアメリカでNikeのCMを作っている世界でもっともクリエイティブといわれている会社に行かれ、非常に業界の話題になりましたね。
(PARCO グランバザール)
(日光江戸村 にゃんまげ)
(サッポロ黒ラベル 山崎努・豊川悦司編)(サッポロ 生搾り)
(公文)
(NIKE)
●小田桐:広告の果たす役割は、人と物の関係を作り直すこと。それが会社および商品のプランド。ビール戦争でサッポロはなかなか這い上がれなかったが、サッポロブランドを人の心に近づけたという意味では、非常にいい広告でした。
●米村:PARCOのCMは、15年間前にそれまでグラフィックの担当としてやってて、はじめて映像をやった時のもの。その頃から企業の方々が商品をがんばって売っているということが、一般の方々にはその努力がなかなか見えないので、その企業の思いを伝えてあげる仕事が広告だと思ってました。
黒ラベルのCMは正月からONエアされましたが、正月明けに会社に行ったときのみんなの反応がこれまでと全く違っていた。やることはやったという思いはあった。
「人と繋がっていると感じたとき人は元気になる」と中島さんがあいさつされていましが、その絆を作ってあげるのが自分の仕事と考えています。それは画面だけでは出せない。したがって、時代村のCMの「にゃんまげ」にしろ実際に抱きつける現場も作り出すところまでやってきた。
 
●小田桐:米村さんは、黒ラベル以降、非常にコンセプチャルになってきてて、公文の広告にもそのコミュニケーションが読み取れますね。
●米村:Wieden+Kennedyという会社は、コンペには参加しない。ワイデンにやってほしいという企業の広告しかしない。これはアメリカでNIKEをやったノウハウ。競わせていいところを選ぶ関係より、もっと深い繋がりが必要。繋がった相手にウソがあったらダメ。公文も現場は広告のとおり熱心だった。それを世の中に繋げるものは広告会社が用意するということ。
●水口:まじめなセミナーになっちゃいましたね。
●小田桐:まじめでシリアス??。おちゃらけやるほど業界の現状は楽観できないので、お許しください。水口さんですが、電通から出てシンガタをつくった。実は去年のイートの帰路に聴いた。佐々木ヒロシさんがリーダーで、水口さんがアートディレクターとして迎えられた。水口さんがグラフィックの仕事をされるのは喜ばしいこと。水口さんの作品は、デザインはもともと本質をシンプルにする仕事でだんだん冷たくなっていきがちでだが、ほどよいシンプルでここちよい。人の感情に訴えるものがあり、何を伝えたいかよくわかる。
●水口:小田桐さんは普段あまりほめない方なので、今日はくすぐったい。
広告の面白いところは制約があるところ。制約がなかったらつまらない。こんな商品だけどなんとかしてほしいというのを考えるのが広告の楽しさ。
(トヨタ カローラフィールダー小野伸二編)
(全日空 トラベルスマップ)
(JR東日本 東北新幹線「はやて」)
●水口:カローラフィールダーは2000年にデザイン。それまでカローラはおじさんの車で、若者にも載ってほしいという思いがあった。カローラワゴンは商用車だったが、それをスポーティで若者も乗れるものにしたもの。ちょうど、小野伸二がオランダで自分で変わろうとしていたのとオーバーラップさせ「変わればドキドキ」がテーマでした。本当は小野とオランダの少年という企画だったが、絵コンテの段階で女の子になったが、本当は丸坊主の女の子にしたかった。あの子クインティーちゃんは普段の顔より怒った顔がよく、みんなで怒らせたり泣かせたりした。トヨタ自身も本当に喜んでくれ、延長となった仕事です。
●小田桐:お堅いイメージにしては、トヨタにしては画期的な広告。トヨタは大きいけどつまらない会社だったが、イメージが変わったと思う。企業に顔を与えた。
●水口:全日空ですが、JALの常に2番手。SMAPを使う前提で、その旅を企画してほしいという要望だった。旅にでるウキウキ感を出すのが目的。実は去年SARSの影響による旅行不振でお金が無かった。しかし、なんとかSMAPを継続したいということで、グラフィックだけで何とかCMを作り、TravelSMAPという言葉が生まれた。CMは旅自体をエンターテインメントとして捉え、黄色を目印にした。本来全日空のカラーは青ですが、青だと地味なイメージ。グラフィックは一瞬のスピード感が必要で、それで黄色を目印にした。SMAPでファインタジックな旅をグラフィック立てでストーリーを組んだ。それが受けてTVCMを作ったという流れです。
JR東日本の「赤い北東北、白い北東北」も色。赤と白でディレクションしたいというところからスタートした。
●小田桐:色彩構成のいいグラフィックのほうが、CMよりいい。

●水口:しかし、撮影より印刷にこだわったので費用はかかりました。

●小田桐:デザインというのは、シンプルなほうがもっている意味が伝わってくる。

早川和良氏
水口克夫氏
米村 浩氏
 
 
 
  ●小田桐:それぞれ次のCMを見せて頂き、CM業界のよさをいってほしい。

●早川:彫刻出身なのでデザインの話はできないが、ようはどちらも同じ。彫刻も映像も。こんなものを作りたいというのがデザインで、それをどう作るかが手。しかし彫刻は自己実現であるが、CMは何のために作るかと言えば、クライアントのニーズ、目的にあわせて作る必要がある。それだけのちがいであって、ものをつくるということはすべて同じだと思う。では、CMを見てもらうが、この作品は、合成とか加工を加えず、撮ったものをみてもらう、映像の力をみてほしい作品です。

(東京ガス 料理編)

●米村:広告は真っ白なキャンパスに描くものでもなく、観賞するものでもない。世の中におかれた関係性が重要。昔はだれも携帯もパソコンも使えなかった。今の若者はそれを使いこなし、自分ができないこともやってしまう。その時代、その時々で作品はできる。したがって年齢は関係ないと思う。
(サッポロ生搾り 生産者紹介編)
 サッポロ生搾りは畑の作物まで管理出来るくらい小さい。その良さを認めてくれる人に買って頂きたいというコンセプトで作っている。
 
(NIKE ジャパネットたかたエアマックス)
これは、映像をみて詳細をみたい人はWebにアクセスしてみてというコンセプト。

●水口:作品は紹介しない。現在シンガタで7人でやっている。なぜ小さな会社でやっているかといえばみんなが元気で、元気な仕事ができるから。元気な仕事ができれば世間も元気になる。元気をoutputしていきたいと思っています。●小田桐:CMの仕事はものを売ると捉えられるが、要はコミュニケーション、人と人を繋げる仕事。国のブランド広告の仕事を現在しているが、日本を世界の人々に知ってもらいコミュニケーションしてもらう仕事。そうした人と人、人と社会とに繋がっていると感じることが大切。広告はこれからの大きな仕事になる。
 
(セミナーでの発言から一部を抜粋して掲載しています)
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