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セミナーB
「世界はコンテンツビジネスで廻っている」

宮本茂(任天堂(株)専務取締役情報開発本部長)
樋口真嗣(映画監督)
ケン・デュアー(フューズ・エンターテインメント代表)
テッド・アダムス(アイディア・アンド・デザイン・ワークス代表)
コーディネータ 宮田人司((株)ゼン代表取締役社長)
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■SeminarA

セミナー会場風景
●宮田:よく人から「すきなことやってお金もらえていいね」と言われる。それは一生懸命やった結果であって、いいものさえ作っていれば周りにそれをほしがる人が出てくる。そうした簡単なことからビジネスが成り立っていく。皆さんには、どうしてそんなことがビジネスになるの?なぜはじめたのという疑問に答えて頂きます。まずは「ローレライ」封切り間近の樋口監督からお願いします。

●樋口:映画は作ったものが見てもらえないとビジネスとして成り立たない。ずっと特写監督やっていたが、ある時生身の人を撮る仕事があり、そのとき人間のもつ可能性を目のあたりにした。本物の女優のもつすごさ、可能性がまぶしく思え、
映画を撮りたいというより人間を撮りたくなった。「ローレライ」も特写が随所に出てくるが、実写と自分自身でもわからなくなってきているくらい良くできている。Macのおかげで、直前まで変更を迫られても対応できた。
監督というのは、職業ではなく、役割。誰かがやらなければならない。作りたいという気持ちがあったら、自分から率先してやるしかない。作品がうまくいかなければ、追い出されるだけ。

●宮田:次は宮本様。先日nintendoDSを買ったが、みんなで熱中している。それくらい惹かれてしまうゲーム。その発想の原点をお話し下さい。
●宮本:今回全体のテーマがCoolになるですが、元々
Coolの意味は自分が背伸びして早く大人になりたいということ。任天堂はその点Coolな会社だし、ターゲットは5才から95才まで幅広い。ゲームがなぜ面白いかというと、ボタンを押せばすぐ反応するというインタラクティブという要素以外考えられないと思っている。
(nintendoDSの映像を上映)
DSは数分さわればわかる。コマーシャルには直接さわってもらいそれを映像にした。タッチパネルが一番操作性がいいとわかった。
ハードの進化にあわせ、映像を進化させ複雑化させていくことが本当の遊びの進化なのかという壁にぶち当たってきた。これからは技術を違う遊びに使おうと試みている。その一つがDSであるが、勿論映像のすごさも追求していく。

●宮田:次にテッド・アダムスさんを紹介します。彼はアメリカでゲームやテレビ、コミックのデザインワークや脚本を専門にした会社を興している。なぜこうした仕事を始めたというところからお話し下さい。
●テッド:
(会社ビデオを紹介。)
うちの会社は、出版セクションと、クリエイティブセクションをもつ。クリエイティブセクションは外部との契約業務を実施している。契約デザイナーはキャラクターデザインやアートワーク、脚本などを手がける。向こうでは、nintendoのゲームの仕事もさせてもらっている。日本の仕事としては、トレーディングカードの現地スタイルでのアレンジの仕事も行っている。コミックに関しては、2つのビジネスを行っている。ひとつは、ライセンスビジネスで他の会社のライセンスを展開する仕事。このビジネスは非常に期待されている。もうひとつは、我々自身がコンテンツを開発しており、映画化されるものも出ている。こうしたビジネスはインターナショナルに実施しているが、
われわれがサンディエゴの小さな会社であるが、世界各地のスタッフに参加してもらっている。こうしたことができるのもインターネットのおかげだ。ただ出版を各国で翻訳するだけでなく、その地域にあったローカル化や、プロモーションが必要になり、それがノウハウであり、ビジネスだ。グローバルビジネスは言語の壁を乗り越えて進んでいく。

●宮田:テッドはアイデアをお金にかえていく錬金術のようなビジネスを展開している。
次は、ケン・デュアーさんです。彼は鎌倉生まれの英国育ちのアメリカ人です。ワーナーアニメーションの副社長から自ら会社を起こされました。そうした経緯などお話し下さい。
●ケン:3年前にワーナーを辞めたが、これはもっと幅広い人々といろんなプロジェクトをしたかったためだ。日本とのビジネスもそのひとつ。フューズエンターテインメントという会社を3人で立ち上げた。フェーズ(phuuz)というのは、fuse:違ったものをいろいろ混ぜて融合するという意味をもじった。
(会社ビデオを紹介。)
最初はアニメだけでなくゲームなど幅広く展開しようと考えていたが、ドラえもんの吹き替えを行ってから、日本アニメの世界展開のビジネスが中心となってしまった。日本アニメは、アクション関係は非常にわかりやすいが有名に成りすぎて出尽くした感がある。これからはスポ根かコメディーであるが、アメリカではスポ根は難しいので、コメディーをこれから展開していく。
コメディーは日本とアメリカではおもしろみが違っていて、せりふのタイミングとせりふを磨かなければならず、他社がなかなかビジネスにしづらいため、引き合いが非常に多い。クレヨンしんちゃんも手がけているが、なにが難しいと言って、しんちゃんの声優を捜すのがもっとも難しかった。日本の声優に英語を教えて吹き替えてもらったほうがよっぽど良かった気がする。

●宮田:最後にこうした新しいビジネスの仕事を目指している皆様にメッセージをお願いします。

●樋口:ある程度のことをやろうと思ったら時間がかかる。いかにしてあきらめないかが大切。自分の中で作りたいという欲求は非常に強いが、大事なことは、自分の欲求で作った作品によって誰かを設けさせてあげなければならないというのがビジネス。今回映画を作ってみてつくづく感じた。

●宮本:世界展開する上で先ほどの話のとおりローカリゼーションは大変。ゲームは当初から日本だけでなく、誰にでもわかるものを作ろうとしていたことが世界に通用した原点。最初からマイナーへの受けを狙うのはまちがい。自分としては苦労はしていて現場も殺伐としているが楽しんでやっている。好きなことをやっていると思えるように。お客様の笑顔がみたいというかっこいいことではなく、お客様にほめてもらいたいというのが原点だ。

●テッド:自分のやりたいことを忠実に守り楽しめば、成功はついてくる。人生は短いからいろんなことをやるのではなく、楽しいものをやることが大切。

●ケン:ずっとこれだと思ったものがあれば、時間はかかるが必ず到達できる。一ヶ所に漬かっていると慣れっこになるので、新しいキャリヤを求めることもいい。これだと思ったら自分で最後まで楽しみながらやってほしい。

宮田:楽しんでやり遂げることが大切ですね。

(敬称略)


宮田人司氏

樋口真嗣氏

宮本茂氏

テッド・アダムス氏と通訳の服部桂氏

ケン・デュアー氏
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