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セミナーC
「風とロックとオモシロ楽器…音楽はたのしい!」

土佐信道/明和電機代表取締役社長
旭 保彦/ヤマハ(株)
     楽器・音楽ソフト事業統括AMPプロジェクトリーダー
佐藤 卓/グラフィックデザイナー
    (株)佐藤卓デザイン事務所 代表取締役
箭内道彦/クリエイティブディレクター

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■SeminarA


土佐さん
●土佐:音楽の楽しみ方がとても多様化してきており、いろんな機械、楽器が登場してきています。こうした状況に皆さん何かひっかかっている、疑問を持っていることもあるのではないかと思います。まず、旭さんはヤマハでどういった部門になるんですか?

●旭:ヤマハで電子楽器、例えばキーボード、エレクトーン(ヤマハの登録商標)などをつくっている部署です。確かに楽器も多様化している中で、ただ頑張って練習して弾けるようになったというだけではなく、もっと多様なアプローチがあってもいいということで「誰でも楽しもうよ」というコンセプトでつくった楽器を持ってきました。いろいろなものがありますが、デザイナーがそれぞれの思いでつくったものです。

●土佐:旭さんが最初に買ったのはどんなレコードでした?

●旭:ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」。

●土佐:僕は所ジョージのお菓子のコマーシャルソングでした。最初に弾いた楽器は、中学の時のパーカッションです。佐藤さんはグラフィックデザイナーですが、パーカッションの腕前はセミプロ級ですよね。昨日のフォーラムをご覧になった方はもうご存知だとは思いますが。

●佐藤:もともと大学時代はバンド活動に熱中していました。ライブハウスで演奏していて、ちゃんと事務所に所属していたんです。ロックバンドでパーカッションをやってたんですけど、ミュージシャンの人に「今から本気でやればプロでメシが食える」と言われてのぼせちゃいまして。デザインが仕事になったあとも趣味で続けています。南米というより中米、サルサ、メレンゲの曲が好きです。最初にはまった音楽は、僕の世代ではやっぱりビートルズですね。「ヘイジュード」を自分で買ったのを覚えています。

●土佐:箭内さんも音楽にまつわる仕事をいろいろされていますね。

●箭内:僕はフォークデュオです。中学の時、フォーク歌手にあこがれました。最初は吉田拓郎さんとか井上陽水さんです。リアルにあこがれたのは松山千春さん、今は頭が中島信也さんみたいになっちゃいましたけど。僕の故郷は福島県ですが、北海道の札幌から鈍行で10時間くらいの足寄町まで訪ねて行きました。それも夜行列車に飛び乗って行きたくて(笑)、発車ベルが鳴ってから乗ったんです。

●土佐:めちゃくちゃベタですね。

●箭内:谷村新司さんにもあこがれていまして、ちょうど20才の時に金沢に来たことがあるんですけど「いい日旅立ち」という曲に「砂に枯木で書くつもり…」という歌詞があって、それを日本海の砂浜に書くつもりで…。
コピーライターの糸井重里さんに言われたのですが、自分でロックと言ってるヤツはロックじゃないらしいんです(笑)。しかも名前が50音の後ろの方はロックじゃないって。僕も「ヤナイ」ですからね。学校の体育の授業でも走り高跳びなんかア行の子の時はみんな注目して見てますけど、ヤ行くらいになると、もう誰も見ていない。そんな人たちがきっと人生の後半にラストスパートをはじめるんですよ。矢沢永吉とか…。

●土佐:今日は楽器がテーマですが、まず自分の話から。明和電機の楽器は「ツクバシリーズ」といいます。他に「魚器(ナキ)シリーズ」「アルクラシイ」という明和電機のライフスタイル提案ですね。それから「エーデルワイス」というシリーズでは物語を書いてそれにまつわるオブジェや機械をつくっています。今回、金沢の柴舟小出さんと「水晶花」というお菓子をつくったんですが、これはこの世界観からつくったものです。では、いろいろと楽器を紹介します。

---楽器実演---

私の楽器人生は、姉のヤマハのエレクトーンが家にあったんですが全く弾けなかったので、兄とキングギドラの声なんかつくって遊んでました。小学校3年の頃から妙にはまって、アニメソングを弾いていました。その後、衝撃的な体験は、姉が冨田勲の「惑星」というアルバムを買って来た時です。兄とその背景に写っている機械 ― 操作パネル ― コンソールにしびれていたんですけど、中学時代に打楽器をはじめまして、兄が買ってきたローランドのシンセサイザーにはまりました。高校ではフォークソング部に入って、ドラムをたたいていました。兄とバンドを組んでポプコンにも出てました。兄とのユニット名が「TOSA」。TOTOみたいな名前で広島のテクノ兄弟と言われてました。大学は筑波に入ったのですが楽器に興味がなくなってしまって。ちょうどその頃から時代がデジタルミュージックに特化していって…。インターネットなど、どんどん新しいテクノロジーがでてきた。楽器が情報機器になっていくんですね。インターネットからダウンロードした音源をきったりはったりして流行のアレンジで組み立てて録音した曲もモニターの中の仮想の相手に向けて発信するということになって。楽器の持っているダイレクトなコミュニケーションが希薄になってきてまして、楽器がなくなってしまいました。
冨田勲さんのマシンミュージックのおもいで、もう一回人と物体のダイレクトなコミュニケーションをしたいなと思っていたことが今日の明和電機の楽器なんです。電気を使って動きますけど生の音を出すというものです。

●旭:ヤマハに入った頃はデジタル楽器の全盛で、いきなりそのセクションに配属になり、ピアノやギターというアコースティックな楽器もつくりながら、電子楽器もつくっているのがヤマハです。

---ヤマハの楽器紹介---

私がヤマハでつくるものは「感性マシン」で「琴線」にふれ、しかもネットに繋がらないといけないというのがコンセプトです。レコードを聴くというスタンスから楽器を能動的に楽しんでもらおうと思ってるわけです。電子楽器の場合に重視しているのはインターフェイスで、小難しくなると演奏者の思いが楽器に伝わらない。思いを伝えることで反応してくれる直感的インターフェイスでないといけないんです。MIBURI(ミブリ)を紹介します。1980年代に全身で音楽をしようということで誕生した楽器です。

●箭内:音楽はやはりロックだと思ってますが、ちょっと演歌つくりたいなと思いたちまして「恋の表参道」という曲をつくったんです。演歌はやはりご当地ソングだろうと思って、演歌のヒットのポイントは「ラララ〜」とか「ひゅるり〜」とか歌詞じゃない言葉かなと。その曲を突然、南野陽子さんに歌わせたいとひらめいて、南野さんといえば永遠のアイドルです。面識も何もないので事務所を調べて会いに行きました。同じ頃に同業者のディレクターとかスタイリストの人を集めて「オレタチ」というバンドをつくったんです。そのバンドでライブをやった時に南野さんにボーカルで歌ってもらって、他の曲の時は南野さん用にリスニングというパートを考案しました。イスにすわって、僕がギター弾いているのを聴いててもらう(笑)。すると観客も南野さんが聴いてるからちゃんと聴こうという雰囲気になって。僕ってやっぱり広告がうまいなぁという感じです。僕は広告が好きで、これまで打ち込んできましたが、今回のライブ体験が楽しくて、こんなに楽しいことがあったのかというショックで広告に身が入らなくなってしまいました。この気持ち、佐藤さんならわかってくれると思いますが。

●佐藤:それはぜんぜん悪いことだと思いません。僕もサーフィンとパーカッションはデザインより好きです。

●箭内:広告もミュージシャンも到達するところは一緒だと最近思えるようになりました。

●旭:昔、ジャケットを見ながらレコードプレーヤーでじっくり聴いた頃の曲と、今、一万曲を手元における環境では、一曲の重みが薄くなった印象があって、あくまで音楽は聴くことがベースなんですけど、そこへ何かアクションを加えたいと思います。いかにアクティブに音楽と関わるか、そためのエンジニアリングをどう開発するかだと思います。「MIBURI」の頃はあんな大きいものしかできませんでしたけど、今はiPodサイズの中に入ってしまうわけです。そこでラッパの形やギターの形の新しい楽器から直感的な新しい音楽が生まれてくると思ってつくりましたが、これからはもっと簡単なインターフェイス、「テノリオン」なんかでもそうですが、既存の楽器のインターフェイスにこだわらない取り組みを続けて行きたいと思っています。

●佐藤:やはり身体性ですかね。音楽は脳で聴いているんじゃないかと思っている人も多いと思いますけど、ドミニカなんかへ行くと商店街で踊りながら歩いている人がいて、本当に楽しそうなんです。日本はどうかなと振り返ると盆踊りがある。河内音頭って好きなんですけど、日本にもそういう文化があって、やはり身体性が大切だと。デザインもそうなんじゃないかと思うんです。

●箭内:視聴って文化がありますよね。僕が高校生の頃はレコードジャケット見て2000円とか支払って、聴いてガックリという経験が結構生きてますけど。生きていて、誰かが好きだったり、何かでガックリしたり、それを励ましてくれる音楽とか気分をいいあててくれる音楽とか、愛とか恋の音楽の大半がそんな感じで、人は自分の気分にピッタリの曲を探し続ける旅人かな?
人が人を好きになる気持ちが減っていく世の中になったらヤバイなと思っています。デザインはまだそれを見て泣けたとか感動したということが少ないと思うんですけど、デザインも音楽も一緒になって、それを追い越して行けたらいいと思いました。


旭さん


箭内さん



佐藤さん
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