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セミナーA
「緊急会議 広告・デザインどうなっちゃうの」


宮田人司(株式会社Xenn代表取締役)
森本千絵(株式会社goen代表取締役)
永井一史(株式会社HAKUHODO DESIGN代表取締役)
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■SeminarA

















 

 


●宮田:みなさん、こんにちは。ハイパークリエイターの宮田です。今日は、緊急会議「広告・デザイン、どうなっちゃうの?」という中島信也さんからのテーマが振られています。今日のゲストは、広告・デザイン業界では有名なお二人ですのでみなさんもお話を楽しみにしていると思うのですが、まず最初に僕がどんな仕事をしているかを簡単にお話させていただきながら、お二人につなげていきたいと思います。
昨年、家具のデザインをやらせていただく機会がありまして、店舗のデザインなんかも本業以外のところでやっています。本業はアニメをつくったりで、ミュージシャンのジャケット用のキャラクターデザインや「まゆとろ」というアニメーション、フル3Dで「ナイス&ニート」というアニメーションをつくっています。
いま「となりのたまげたくん」という石ノ森章太郎さん原作のアニメーションをつくっていまして、今年の春に公開します。つくったアニメーションをちょっと見ていただこうと思います。
それから、Appleが出しているiPhonのソフトをつくっていまして、もともと日本の着メロを初めて手掛けたりしたのですが、途中で興味がなくなってしまいました。このiPhonが出てから、おもしろそうだなと思いまた始めました。
iPhonで何が変わったのかというと、すべてをグローバルに考えるようになりました。このiPhonは日本の他の携帯電話と違って、世界中で販売し使われている点です。僕の考え方としては、これからのアプリケーションにもストーリーが必要だろうと、物語を通してテクノロジーを楽しんでもらおうというのが僕がいまやろうとしていることです。
昨年の10月に金沢21世紀美術館のアートプラットホーム2008というアートイベントで発表した「memory tree」というソフトがあります。アート作品としてソフトウェアを展示させていただきまして、世界中からも注目していただき、現在もやっています。デジタルコンテンツというとなにか取っ付きにくいイメージがありますが、これは写真を共有するソフトです。写真を思い出という呼び方に変えて、思い出を誰でもポストイットのようにその場所に貼り付けようというものです。操作はシンプルでGPSという位置を特定するソフトと、加速度センサーがついています。これをうまく利用したインターフェイスをつくって、FTPソフトなど使わなくてもこうして振るだけで写真をサーバーにアップロードできます。実際にやってみます。他の人が同じ場所で撮影した写真もその人がアップロードしていれば、同じ場所へ行けば簡単にアップできます。
次に、森本さんお願いします。

●森本:広告の仕事では企業からの依頼で、より商品を魅力的に伝えるかとか、ブランディングなど新しい価値をどうしていくかということを一緒に考えていったり、考えている先で表現したり、よりわかりやすくするために、どう表現するかということをやっています。
永井さんは私の博報堂時代の大先輩でして、後でもっと詳しい説明があると思います。基本的には、生活者と企業のあいだにある部分に属しています。
私の仕事ですが、これは既に販売していた飲料を新しくつくり直したものです。(月桂冠 月のCMを上映)
音楽の仕事でいうとグラフィックより先に音を考えたりすることが多いのですが、Mr.Childrenのアートワークなども手掛けています。
ひとつ特徴的なことがあって、アルバムジャケットの依頼なんですけど、毎回15案くらいプレゼンするんですが、今回のケースとしては、アルバムのタイトル名など何にも決めてないので、曲を聴いて決めてくださいということで、私の考えた企画案の中に「SUPERMARKET FANTASY」というタイトルがあって、この表現かアイデアからアルバム名に発展していったり、アルバムコンセプトになっていきました。ミュージシャンと一緒になって考えました。アルバムコンセプトをつくってから、映像の依頼が来るという、その世界観を映像にしました。
広告の世界では、先にデザインをイメージしてからコピーライターにコピーを後で書いてもらうということが日常的であるんですけど、それと同じ感覚で、実験的な、広告的な気持ちで取り組んだものです。
「ちびgoen」という5歳から12歳くらいまでを対象にしたワークショップを月1回開催しています。広告で子どもたちのCMをつくったりしていくうちに、その発想の中でもっと子どもたちといろいろやってみたいという欲求が出てきたので、毎回何をやるのかを決めずに、子どもたちが集まって何をするのかを真剣に会議して「映像をつくってみたい」と言うとすぐカメラ回してコマ取りするとか、「輪ゴムで何かしたい」と言うと、輪ゴムでカップラーメンをつくって終わっったりということもあります。そういう実験をやっていて、そこからCMが生まれたりするんですけど、子どもたちがとてつもなく真剣で信じたりしてるんですね。流れ星なんか簡単につくれるよって感じで。子どもたちには魔法の発想があって、それを大人が実現してあげたらいいなって思っていまして、人からみたらバカかもしれない発想だけど、本気で信じていたら叶うと。アニメの世界でいいなと思うのは、未来を作者が思い描いてそれがカタチになっていくじゃないですか。子どもたちの声を全部録音して、三菱地所のブランディングで「これからはもっと創造力で会議をして、本気でそれをカタチにしていく」というようなことを表現しようと創造力会議というコンセプトで実際にCMをつくりました。(CM上映)

●宮田:子どもから生まれたと思えないですね。

●森本:ワーッとある中から抜粋してあって滅茶苦茶なんですけど、最後クマさんが傘をさしていたり、訳がわからないんですが。そのままをカタチにしてしまおうと思って。他にも「育育児典」という育児の辞書などのブックデザインなんかもやっています。子どもたちから、すごく刺激をもらってつくっています。

●永井:もともと広告代理の中では、予算もそれなりにあって、デザインを気分良くやれていたんですけども、自分の中ではデザインと広告というのがあまり一致しなくて、いろいろやっていくうちにブランドという考え方に関しては一致したところがあり、まさに自分自身がやろうとした仕事かなというふうに思ったんです。広告の時は自分の仕事として確信が持てなかったんですが。それで、そのためにきちんとやろうと思いまして5年前に博報堂からは独立した形でHAKUHODO DESIGNという会社をつくりました。
今日のテーマに近いかもしれませんが、デザインの領域自体がすごく広がっていると思うんです。宮田さんのiPhonのアプリケーションもあれば、森本さんのようなCDのジャケットから広げた音楽アルバムの世界観もあれば、僕自身もデザインの拡張を考える上で、ブランドということでいうと、どこまで遡って企業の根幹にさわれるか。もともと企業が持っている意味や要素といった情報を自分なりに世の中にとって素敵な部分なんじゃないかということを自分なりに解釈して、世の中にコミュニケーションを通じてアピールしていく。それが僕なりのブランドの解釈なんです。
いまご紹介した映像ですが、日本郵政の民営化のお手伝いをしました。トップの西川さんにお会いして、民営化にあたって「採算の取れない所はつぶしちゃえ」といった合理化の声があるけれども、まったくそんなことは考えていない。むしろユニバーサルサービスが競争価値であり、お話を伺いまして「ひとりを愛せる日本へ」というコピーはコピーライターの岩崎さんなんですけど、すごいポテンシャルを持っているんだという、そんな気持ちをどうやって伝えるか。悪いニュースはすぐ伝えるけど、よいニュースはなかなか取り上げてもらえない中で、コミュニケーションという形で発想したのがこの作品です。
これは伊右衛門でもお世話になっているカメラマンの上田さんが、その場にいって「この人いいね」といった感じで選んで撮影して、後で出演をお願いするという形式で撮っている完全ドキュメントです。

●宮田:これからは広告がなくなるかもしれないと、広告をやっている人に言われると、あなたたちどうやって食べていくのって思うけど、いままでのワクを越えたところでこういうことをやったら効果があるだろうとかいろんなアイデアがでてくると思うんですけど。

●永井:この前たまたま炊飯器が壊れて何を買ったらいいかとインターネットで調べて、どこが安いか調べて注文したんです。

●宮田:永井さんでもそういうことするんですか?

●永井:そうなっちゃうんですね。広告の役割というと、インフォメーションなんですね。情報でしかない。森本さんもそうだと思うんですけれども、僕たちはどちらかというと意味をつくっているんです。つくっているといっても、作為的につくっているんじゃなくて。それが世の中と商品や情報とどうやって結ぶかということをつくっているんですね。機能的なものだったらインターネットだけで見比べていいのかもしれないけれども、それだけだと、みんな幸せじゃないんじゃないかと。そこに広告の役割があるんじゃないかと思います。

●森本:気持ちの中に残るというか、商品を売るということだけじゃなくて、気持ちの中に残るものがあるかもしれないという希望があって、この仕事をしてるんです。ただ形がこれまでのようなCMや新聞じゃなく、むしろWebや柔軟なアイデアがあると思うんです。だから広告がなくならないというか。メディアがないから広告がなくなるということではなくて、伝えることは残るので、場所が変わるだけなのかなと思います。

●宮田:せっかくの機会なので会場で何か質問のある方いらっしゃいますか?そこの坊主の方。

●中島:すみません。コマーシャルをつくっている者なんですが、コマーシャルがなくなったら僕は失業するんですけど、どうなるんでしょうか?広告において、テレビのコマーシャルは今後どういうふうに輝いて発展するんでしょうか?(会場爆笑)

●最近、お笑い番組の制作に関わってスポンサーが必要なんですが、スポンサーのCMもつくるという、番組と両方つくることになったんですが、テレビはCMがないと成立しない部分もあって。

●宮田:昔はそれに悩まなかったんでしょうかね?

●森本:せっかく面白いコント撮っても、編集作業でCMの尺を120秒入れないといけなくて、120秒もあるのかと。このCMけずってくれたらどんなにいいかと思ってしまって。CMの人も一緒に番組の中で気を引かせる何かをつくれたらいいのにと思ったんですが。それと同時にネットでこうなってたら面白いとか、いろいろ角度を変えて全体で立体的にこうなったら面白いなと思う部分を中島さんがやったらいいんじゃないかと。

●宮田:ということなんですけど、坊主の人、これでいいですか?納得できましたか?

●中島:僕が心配しているのは、僕がCMディレクターという職を失った時、どうやって食べていくのかということなんですが。

●宮田:世の中、不況で大変な時代なんですよ。そういう時に自分のことだけ考えるのはよくないと思いますよ。

●中島:承知いたしました。(会場爆笑)

(文責:編集部)

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