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セミナーB
「緊急会議 テレビ・番組どうなっちゃうの

中島信也(株式会社東北新社専務取締役、CMディレクター)
亀山千広(株式会社フジテレビ執行役員常務 映画事業局長)
竹田青滋(株式会社毎日放送 東京支社テレビ編成部専任部長チーフ プロデューサー)
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■SeminarB


 



 

 










 

 

 

 











 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 


●中島:今日のテーマは「テレビ・番組、どうなっちゃうの?」ということで、このテーマを石川さんと考えてから半年くらいで世の中の様子が変わってきて、このキャスティングをお二人にお願いしてからもどんどん変わってきて、セミナーAでもテレビはどうなるのかという意見が出てました。それとプロデューサーとは何なのかと、白なのか黒なのか赤なのか、石川さんの答えもありましたけど、亀山さんはテレビよりも映画の方を担当なさっているプロデューサーでいらっしゃいます。竹田さんは人気アニメーションということでお二人のご紹介は映像でやるのが一番いいかと思いますが、その前に私の紹介を。私の仕事はCM監督なわけですけど、CMがなくなったらただの監督になるのかなといったら、そういうわけでもない。
僕たち3人の共通点は会社員。しかも一回も会社を辞めたことがない。すごい忠誠心のかたまりなわけですけど、この忠誠心のかたまりは、私の広告表現にもいきています。昔、ええスポンサーがあったんです。フジテレビのプロ野球ニュースというのがあって、あの時間帯のCMを僕は制覇したかったんです。サントリー、資生堂、ホンダ、ソニー、リョービ、この5社が並んでいたんですね。うちの会社はどちらかというと、ラーメンとかうどんとかそばとかが多かったんですけど、いつかサントリーをやりたいなと思っていて、1987年にサントリーさんの仕事をやらせていただくことになって、それからはもう「お前はいらん」と言われてもしがみつくんだと、他のお酒は一滴も飲まないです。唯一、日本酒は福光屋さんのを飲んでいます。サントリーを置いてない店もあるんで、そういう時は他社の研究ということで――(会場爆笑)
そんな私の25年間を一本のビデオクリップにまとめました。これは私が作詞作曲をした曲で水前寺清子さん、チーターの歌でご覧いただきたいと思います。(CM上映)
困るんですよ、僕。テレビコマーシャルがなくなると。身体全部テレビコマーシャルでできているんで。テレビ局の社員でもあるお二人にお越しいただきましたが、いまのご覧になっていかがですか?

●竹田:たくさんやってはんねんなーって。かなり昔からやってるんですね。

●中島:亀山さん、どないですか?

●亀山:いや、なつかしい顔がいっぱい。この人とも仕事やったなって。

●中島:なんか昭和を回顧していく思い出のクリップみたいになってますけど。このお二人を紹介するにあたって、番組の中で竹田青滋という名前が出てくるところをみなさんと共有したいと思います。(機動戦士ガンダム00のクリップ上映)

●中島:出たー!カッコイイですね。名前が出てきて子どもたちだって覚えてますよ。

●竹田:覚えてないですよ。

●中島:これなんや?青なのに変な字やなーと。(爆笑)
こういう作品に携わっていらっしゃる。映画監督が映画をつくるのとは違う関わり方をされている思うんですけど、そのへんを後で。
さあ、亀山さん。私が見つけた亀山さんの文字はアルファベットやったんですよ。じゃ、例のヤツを。出たー。CMだと名前なんか絶対出てきませんからね。

●亀山:でも珍しいですよね。これ一番売れなかったビデオなんですよ。

●中島:いや、他のはもう借りられていて、これしか残っていなかったんです。(会場爆笑)
亀山さんはフジテレビ、竹田さんは毎日放送でいらっしゃいます。テレビ局に入って、いま風にいうとコンテンツ、コンテンツというお金のにおいが好きじゃないんですけど、コンテンツをつくってたくさんの人を楽しませる現場についておられるお二人ですが、亀山さんは何でテレビ局に入ったんですか?

●亀山:素朴な質問ですね。僕は1980年(昭和55年)入社なので、かれこれ30年近くやってるんですけど、僕らの入社の頃は、テレビが圧倒的に面白かったんです。その当時は日本映画も元気がなくて、彼女を映画に誘うといやな顔をされた時代です。いまでも覚えてますけど高倉健さんの「冬の花」という映画を観て大喧嘩して別れました。テレビから発信されるものがキラキラしていた時代です。竹田さんも?

●竹田:1984年です。

●亀山:同期でテレビかコマーシャルか悩んでいる人間いましたよ。ただ、東北新社や電通に行くということじゃなくて、企業の宣伝部へ行ったらつくれるんじゃないかと思って行って大失敗したの大勢いましたけど。

●中島:竹田さんは東大出やから期待されたでしょう。大阪で東大出てると大変なもんですよ。

●竹田:僕は音楽とか映画に興味があったんでドラマをやりたかったんですけど、いきなり報道に放り込まれて、自分で編集したり、原稿かいたり、テロップ入れたり、取材で歩きまわって足が腫れて、朝、靴が履けなかったことがありました。

●中島:わりと悲しき放送マン人生だったんですか?

●竹田:ええ。もうボロボロでしたよ。

●中島:亀山さんもいきなり映画じゃなかったんですよね。

●亀山:僕は編成部に配属され、CMのフォーマット管理したり、系列に一斉に連絡してみたりが5〜6年。ずっとドラマやりたいと思ってました。ドラマの制作斑があったんですけど、僕が入社した頃は、視聴率が圧倒的にTBSが強くて1強2弱。ウチとテレビ東京は例外で、10%を超えた番組があったらみんな大喜びしてました。何かというと夕方やっていたアタックNo.1の再放送で、それ以外の番組は全部一ケタという時代でした。
同じ編成の中で局のプロデューサーをやり始めて、そこで6年。編成時代は教師びんびん物語とか。さっき中島さんのCM集に田原俊彦が出ていて懐かしかったですね。いま元気かなと感慨に浸りましたね。

●中島:編成、報道と制作があるんですか?

●亀山:テレビ局の組織というと大きく分けて、ブロードキャストとプロダクションと言っているんですが、ブロードキャストは情報とか報道で、基本ベースは生ですよね。コンテンツという言葉は僕もあまり好きではないんですが、モノをつくり続けるというのがあって、もう一つこちら側にお笑いも含めてパッケージ、アニメも含めてあって、このバランスを考えるのが編成。この資金を市場から集めてくるのが営業です。大きな柱は4つかなと思いますけど。

●中島:竹田さんは最初、報道だったんですね。豊田商事事件にどうして?グリコ・森永事件とか?

●竹田:同じ局の中でドキュメンタリーをつくったりするんで、5年間ほど脳死とか医療のドキュメンタリーをつくってました。検死官が神戸市で行革でなくなりそうになった時に、それはまずいんじゃないかというキャンペーンをはったりとか。その後、営業になって、最近不景気で営業が売れない売れないと言ってるんですけど、実は営業的には右肩上がりにきた産業ですから、もともと必死になって売った訳じゃないんですよね。無から有を創造するようなことはしてこなかった。
僕なんかも自分が見たい、つくりたい番組を成立させたいんで、売ることから始めました。フジテレビみたいに視聴率の高い番組はすぐに売れるんですけど、そこに殺到するだけで、低いところにはスポンサーはこないんです。

●亀山:ところが番組が売れてる時に、どんどん短く切っちゃってCMいっぱい入れていいかというとそんなこともなくて、CM総量の規制があるわけですから、放映時間に対しての何分以内と限られていて、CM入れるワクがないわけですよ。ワクがないところにメディア価値があったり、話題性があったり、いまのようにメディアがたくさんない時代には、お客さんが列をなしている訳ですね。ですから、確かに営業も稼いではいますけど、割り振りをするくらいでわざわざクライアントへ行って「こういう番組があるんですけど買っていただけませんか」っていうような俗に言うセールスというのはやっていなかったんです。
ところが、いまはメディア価値のことを議論されて、直接コアに、そんなに大量消費しなくていいものは、テレビスポット出すよりもコアなファンに向かって告知した方がむしろ売れたりするケースもある。僕はインターネットがテレビCMに変わるほどの営業価値を持つメディアになるとは決して思いませんが。むしろ、例えばオタクグッズなんて絶対そうなんです。すると、そっちの方が産業になりますよね。言い方が悪いですけど、コンビニとかスーパーにあるものはほとんどテレビのお得意様なんですね。いった先々にあるもの。わざわざその場所に行かないとないものはテレビではCMやっても仕方ない訳ですよ。

●中島:すごい発言ですね。自動車は?

●亀山:自動車も営業所がたくさんあるわけです。いま不況で調子悪いと言いながらも営業所は減らしてないですよね。工場の人数は削減するけど営業所の人数を削減してませんよね。つくる台数は削減できても売れる時には小売りの店をつぶしてたら売れないから、多少は切ってはいるんでしょうが、本当に営業所を減らしたらCMやっても車も効果ないかもしれません。新聞なんかみていても、まだ自動車は業績が良くなったらテレビに戻ってきてくれると思います。でも、店舗を閉めてしまっている業界はますますテレビCMから撤退する。
ですから、テレビ局の営業がスポンサーを訪ねてCM出してみませんかと言うようになった何年か前から、村田製作所のCMが出てきてますよね。村田製作所のものはどこかへいって買えるものじゃない。企業が村田製作所から買う。ですから、営業が何と言ったかというと「IRのためにやりませんか。こんなに素晴らしい技術力を持っている会社を宣伝しませんか」と言ってたら、村田製作所からノーベル賞が出たんですね。村田製作所も大喜びですけれども、一つのブランドになっていった訳ですね。いまこそ営業は、そういう企業をさがしていかないといけない時代に入っている。竹田さんや僕らの入社した時代に営業に入っていたらラクだったはずです。

●中島:ウチの父は中島というんですけど(笑)、博報堂という代理店で媒体一筋、テレビ部だったんです。大阪本部長やってまして。

●亀山:もしかしたら、お会いしているかもしれませんね。

●中島:80年代に東京に来て常務してたんですけど。ところで、広告代理店ってその時、何やってたんですかね?

●竹田:スポンサーが直接放送局に来たら、その局のタイムテーブルしか買えないじゃないですか。どんな地方にも4局あるとしたら、スポンサーが中島さんのお父さんに言ったら、限られた予算をどう振り分けたら効率的かということをいろいろとアドバイスする訳です。やっぱりABCと関テレやとか。

●中島:広告代理店の人は、一回ワクを仕入れるんですか?買うというか。

●竹田:電通とか博報堂とか大きいところは買い切っています。例えば、TBSの「世界ふしぎ発見」とか「東芝日曜劇場」とか昔のドラマ。いいところは高く売れると見込んでいる訳で、それを電通でしか買いませんという、面積がどんどん広がっていくと博報堂は旗色が悪くなってくる訳です。博報堂と付き合ってるから、あのワクが買えないと言われるとその宣伝担当者はヤバイというか、、、
電通の圧倒的なパワーというのは、面積をたくさん持っていることだったんですが最近は随分減りましたね。

●亀山:でも相変わらず電博になっちゃうんですね。こんなこと言うと他の代理店の方がいると失礼ですけど。

●中島:博報堂さんは大広さん、読売さんと組んでHDYでメディアを押さえていこうと――

●竹田:それでも全然歯がたたないです。(会場笑)
あっ。博報堂さんいてはったんや。ごめんなさい。

●中島:いや、もうみんな脱博してますから。

●竹田:電通さんも同じフロアの中に各局の担当が1mくらいの間隔で並んでるんです。ところが、この1mで口をきかないでいないと僕らは困るんです。各局の4月の番組改編表を持ってる訳ですから。ここが仲良く談合されたらえらいことになるんです。全部、情報が筒抜けになるので不思議な会社です。同じ会社でトヨタの担当とか日産の担当がいて。だから、誰かとお茶を飲んでいると「どういうことなんだよ」って。代理店さんって、クリエイティブワーク以外の人はだんだん嫌な人間になっていくんじゃないかと。大変だなと思いますね。

●中島:それだけやっぱり、電通の建物とかでっかいじゃないですか。そうか、わかった。要するにフジテレビはフジテレビの番組しかつくりませんもんね。電通って全部の番組を扱うんですもんね。
博報堂がTBSのビルに入りましたけど、いいんですか?

●竹田:それは何も問題ないんじゃないですか。

●中島:フジテレビから見て、それはどうなんですか?

●亀山:気にはなりますよ。TBSの不動産の費用を払ってんだなと。

●中島:恐いなー。
亀山さんはドラマをやりたかったんですよね。

●亀山:最初はこんなドラマが好きというのはありましたけど、1年365日視聴率表を突き付けられる訳じゃないですか。視聴率の是非論もあるかもしれないけど。指標がそれない、それが成績表だと言われてしまうとそこを軸にどう考えるかってことになる訳です。もちろん横並べで同じ時間に他局で何をやってたかを分析しながら、僕はこのワクにこんな番組をつくりたいけど、それはこのワクには向かないと軌道修正しながらドラマをつくることってありますね。だから、もし視聴率がなくなったらいい番組ができるかと言ったら必ずしもそうでないと思います。

●中島:毎日、毎分、自分の担当している何分かでどどーっと視聴率が下がっているのがわかる。低いとみんなが暗くなったりして、その経験っていうのは、僕たち広告やっていると直接レスポンスが返ってくるところではないので、日々それに晒されてやっている人たちの情熱、数字をあげるためだけじゃなくても半端じゃないものがあるということなんですね。僕はひしひし感じたことがあって、テレビは低俗だとかちゃんとつくってないとかいう批判がある中で、そうではないと思うんですが。テレビってテレビ局がお金出して番組をつくるんじゃないんですね。

●竹田:亀山さんたちの場合は、そのワクを買ってくれているスポンサーのお金で成り立っていて、その収入をもとにしてフジテレビさんが制作費を出す。ウチも制作費を出しているんですけど、アニメーションの場合はパッケージですよね。DVDやブルーレイも売れたり、プラモデルも売れたりとか、そういう形で成立しているので、その人たちがスポンサードしてくれる。そのお金で制作費を出すのでアニメーションは30分番組で結構高いですが、それを回収する見込がないといけない。視聴率10%取るのに「いくらかかった」というのが大切なんですね。アニメーションの場合は、当然数字は高い方がいいですが、何百万人見てくれたから、コストは高くないという発想はない。

●中島:ピュアといえばピュア。その作品の価値によるということですか?

●亀山:いまのアニメの売り方が近い将来のあり方かもしれないと思ってるんです。僕がいまつくっている4月のドラマですと、撮影に入るのはだいたい1月ですよね。スポンサーに回るのも1月くらいです。本来は10本くらいつくってパイロット版を見せて「いくらくらいお金だしてくれますか」というのが本来の営業のはずなんです。アメリカはその仕組で三大ネットワークはやってるんですね。ですから、アニメのいまのつくり方が近未来のつくり方になってきて、そういう時代が早く来ると思います。
実は10月のパイロットができてたりするんです。それをスポンサーに見せれば、いま数字が悪くても10月にはこれが来ますからと抑止になるじゃないですか。月9が仮にいま10%でも10月にはこれがきますからと言えば。いまは全部紙なんですね。後は、中島さんとか僕とか口が上手い人間。中島さんも僕も口のおかげで存在していると思うんです。でも、これからは口だけのプロデューサーは存在しなくなると。

●中島:うん、存在しなくなる、、、

●亀山:中島さんはつくっているから。監督ですから。

僕みたいなのが時代遅れになると思うんですけど。近未来のテレビ番組づくりをやっているのは、いまアニメなんですね。

●中島:僕、それの方がいいなあと思ったんですけど、その方が中身にかけられますよね。少なくとも数字よりも面白くするという方向に行きますよね。スポンサーもいいものにはお金を出すんじゃないかと思いますが。僕は甘いですかね?

●亀山:この前のウチの番組で「風のガーデン」という作品なんですけど、オンエアする前の週に緒形拳さんが亡くなった訳ですけど、早々と全部撮りきってましたから。50周年だからとすごく贅沢なつくり方をしてオンエアしてるんです。これをテレビ局がやり始めていくとテレビも様変わりしてくると思うんです。視聴率は気にするんですけど流行を追いかける番組はなくなってきて――

●中島:なるほど、横並びも気にすることなく――

●亀山:いや、横並びはライバルですから、バレたら先につくってオンエアしちゃうとかあるかもしれませんが。

●中島:いま日本映画はつくってからすぐ公開するんじゃなくて、ネットを使ってとか情報を共有するようになってますよね。

●亀山:僕は映画もやってますから、テレビ局が各局とも映画をつくり始めたというのは収益性もありますけど、いま言ったようなサイクルにテレビ局の人間が慣れてくる。正直、しめ切りに追いまくられてオンエアをとにかくこなしていくという番組ばかりをつくっていた記憶があるんですよ。5〜6本ストックがあって余裕を持って作っていたという記憶がないんですね。そのかわり、その良さはオンエアで客はここに興味がないと思ったら早々と興味がない人間を殺すこともできましたし。そういうことをやらずに、明確にクリエイターがこの方向でいくんだというのができるのがいまの映画です。
今日、ここに来る前に制作することに決めた作品は2011年の公開です。いまから撮って2010年には完成しますけど、夏休みにかけたいとか言うと、夏休みは1年に1回しかありませんから。こういうサイクルにスタッフが慣れてくると、前もってパイロット版をつくりながら、それを熟成させながらつくっていくことに慣れていく。本来、それがソフトなんだろうと思います。

●竹田:アニメーションもオンエアまで期間が相当かかります。最低でも1年はかかるので。いまの「ガンダム00」なんかはオンエアまで2年近くかかってます。

●中島:さすがにテレビの人たちは秒単位で話が進んでいきますな。
亀山さんは、ドラマから映画事業に移られたんですね。

●亀山:基本的に制作費は会社が出すので恵まれてるんですけど。ベースは100%ウチがもってスタートする。つくる責任も背負うので、テレビとかネット、DVD、CS、BS、コンテンツを全部回して収益を上げていく場合ですと、必ずしもコンテンツとしてテレビが一番大切だとは思わない。そこに帰るつもりではやってますけど、他でも儲けられるんだったら。実際、WOWOWの方に先に売ってみたりしてますから。それも一つのソフトで収益を上げるということなので認めてもらってますから、非常に幸運なところに位置していると思います。

●中島:映画に関わっている人はテレビ番組制作という裾野の広い所から上がってきたきた人と考えていいんですか?

●亀山:上がってきたというと語弊があると思いますが。つまり、テレビとは違うものをベースにしたコンテンツをつくっているという発想なんですね。それが映画の現在の仕組み――つまり、興行とか映画館の仕組みに則ってやってますけど。本来は同列。テレビも映画も同列の中で語られるべきものだと思っているので。
逆に、フジテレビにはこういうドラマをやると決めた時点で、「面白そうだから映画化を視野に入れてやってくれ」と頼んで、そのままスケジュールをとってつくっていったり、「こういう段取りで映画化も視野に入れておいてくれないか」という話し合いを持ったり、番組をつくる時に同一線上で話しています。ただそれだけではダメなので、映画だけのオリジナルで何ができるのかを仕事として動いてますけど。

●中島:竹田さんの場合は、劇場にシフトしていくというのはありますか?

●竹田:一応、テレビ番組から派生してアニメの劇場版というのはありますね。

●中島:竹田さんの関わり方は、これはいけるぞという時にそれをプッシュしていくような仕事では?

●竹田:最初に少しつくってある場合もありますし、シナリオをもんでやってたりするわけですけど、その過程でやれるかなというのはありますが、いけるかどうかはわからないですね。

●中島:いけるというのは、何をものさしにされているのですか?

●亀山:ケースバイケースです。まずは、新しいみたいな感じですか。芸術でいう先駆者みたいな新しさではなく、「この視点で医者の世界を描いたドラマってなかったよね」とか。映画もドラマもこれだけあると、テーマとかシチュエーションとか、別にアバンギャルドなものでつくってほしいわけではないですね。

●中島:「伊右衛門」の場合、とにかく良いシーンをつくろうじゃないかと。ところが、モックンが変な演技をするのでそれを止めるのが精いっぱいで「モックンは何もやらんでいいねん」といつも言ってたんです。りえちゃんがちゃんとやってくれるからと。最近はもう「僕は黙っていればいいんですね」って言う。それが「おくりびと」に結実するんです。(会場笑)
もう時間がきましたけど、映画の世界とテレビのアニメーションの世界、わかりやすいところで言うと報道とか番組と違って、パッケージされた作品をつくっていくというところでお二方がされている。共通しているのは僕たち3人ともサラリーマン、その中でしぶとく生きている訳ですよね。僕たちの人生を決めているのは人事異動。最終的にはみんなのために面白いものをつくったるでーというのがあるから、こういう人事異動を受けてきたんですね。今日、僕が思ったのは、映画会社もありますけど、当たりはずれがあって大変なので、やはり報道があって、多くの人をかかえて、大きな収益モデルを持っているテレビにもっと面白いものを届けて欲しいですね。
面白いものをつくろうという根性のある人が次々と更新していける会社ってなかなかないんですね。一人だけで一つの会社をその人が終わるまでやることはできますが、人を育てて、また次につくる人を生んでいくのは大きな仕事だと思っています。亀山さん、竹田さんが30年近く会社に居続けることによって、また違った意味で「みんなを幸せにする何かを生み出す母体」としての側面も出てほしい。
亀山さんの1年先の作品をつくるぞというパワーがあるなら、まだまだお茶の間とかスポンサーを喜ばせる何かをつくり続けるのでしょう。テレビ局が苦しいと言われている中で、竹田さんがしぶとく成功を続けていかれる。そこにも新しいヒントを得ました。最後になりますが、お二人から映像作品をプロデュースしていく立場でもって、これから映像作品を取り囲む世の中が、どう変わっていくのかを予測していただけませんでしょうか。

●竹田:確かにメディアが多様化しているのでテレビは下降線をたどるのだろうと思いますが、まだまだテレビで充分やっていけるし、能動的に見てくれる人がいる。いまの「ガンダム」なんかでも大人が見続けるのは結構しんどいんです。でも、それを見続けてくれる。いまの子どもたち、中学生、高校生も面白いものがあったら真剣に見続ける。子どもやからこんなもんでいいでしょうと大人が勝手に判断してつくっていくのはナシだな。これからも話題を提供したり、世の中のことを考えるきっかけになればいいと思って作ってます。

●亀山:20何年もテレビの世界にいて、地上波のテレビというのは絶対に消えていかないと思います。テレビの基本は生なんです。いつの間にかゴールデンタイムの番組はみんなパッケージになりましたが、何か事件が起こったら全部切り替えられるメディアなんです。毎日更新し続けなければいけないのが生なので、それを毎日更新しなければいけないことが毎日起こっている以上、絶対なくならないんです。ドラマもバラエティも起こっていることの後追いでしかない。先に起こすことはできないんですからテレビは絶対に消えないと思ってます。
ただ、つくり手がちょっとでも嫌気がさしたりダメだと思い始めているテレビを見てる視聴者が、次にテレビをつくる人たちなので、つまり僕が80年代に入社した時にテレビを見ていて自分でつくりたいと思ったものを、つくれる年代になった時につくってるんですから。
例えば「踊る大捜査線」をつくった時に、大好きだった「太陽にほえろ」を超える刑事番組をつくりたいと思って研究したけど、何をやっても真似になる。だったら、あそこでやってることをやめにしようと4つのことを禁じて、
「あだ名で刑事同士を呼び合わない」
「張り込み、聞き込みに音楽シーンをあわせて描かない」
「たった7人で捜査会議を開かない」
「犯人に感情移入はしない」
ということを守ったら、ああいうドラマになったんです。結果、受けたんですけど、受けるとは思ってなかった。自分の中では「太陽にほえろ」へのオマージュだったんです。
いま僕らが手を抜いたり諦めたりしてたら、おそらく2020年にはテレビはダメになる。いま見ている人たちがつくるのですから。テレビをつくっている人間は、一瞬たりとも気が抜けないと思ってつくらないと。マスメディアというのはそうなんです。
ネットの場合は、いままでやってなかった人が突然思いついてポンとやったら寵児になることはあるかもしれないけど、テレビはそんなことはありません。やはり経験と、ある伝統芸能になりつつあって。まだ50年しかたってないのにすでに伝統芸能になってることがいいのか悪いのかわかりません。その分、BSとかCSとは別なテレビといわれるものが増えてきたので、そこをコアに攻めていくことも可能だし。
法律が変わって、いくつかのチャンネルを持つことも全体のバランスをとる上で重要だし、経営面でもプラスに出てくると思うので、つくり手の僕らは決して手を抜いちゃダメだし、見る人もつまらないと思って切るのは簡単ですけど、切るくらいだったら批判をしてほしい。無視されるのが一番いやなんですね。見てませんと言われると何も言えなくなるんですね。批判していただいて結構なんです。見たけどつまらなかったとか。見続けていただきたいと思います。

●中島:僕らもコマーシャルを見てる人が次つくるんやから、ええのつくらなあかんな。自分に言われているようなお話でした。とにかく大切なことは、手を抜かずにつくり続けること。僕もほんまにクリエイティブなことだと思うんですよね。根性というのが重要やなと思うんで。僕たちはテレビで生きていますから、テレビと一緒に死んでいくをやってるのかよくわかりませんけど。
続きは夜塾で、そこでまた深い話、ご質問等受けられるかと思います。
いずれにしても、もう時間が過ぎてしまいました。テレビ関係者にはあるまじきことなんですけど。
お二人に大きな拍手をお送りください。

(文責:編集部)



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