eAT'11 セミナーA

「メイド・イン・ジャパンのコンテンツ」

 

eAT'11 seminarA













































































































































































































美味浦沢直樹さん、倉本美津留さん、しりあがり寿さんに続き中島信也さん登場。

しりあがり寿●(中島さんに向かって)あっリリーさん到着しましたね。

中島●あの、写真とか撮ったりするのに本人いないとカッコ悪いんで、リリーさん来るまでここにすわっていようかと........(会場爆笑)

しりあがり●あの、三年前ですかね? eATに初めて出させてもらったとき以来の金沢なんですけど、あの時も雪が降ってましたけど、また帰って来たんだなという感じです。 どうかよろしくお願いします。じゃみなさん座っていただいて、ちょっとここはリリーさんが欲しいとこですね。

中島●リリーです。(笑)

しりあがり●浦沢さんどうですか一つ、リリーさんを呼び出してください。 (リリーさんの似顔絵く様子を書画カメラで会場に映しだす。仕上げにWANTEDの文字) 会場にため息と爆笑

しりあがり●リリーさんがみた時が楽しみですね。これでメンバーが揃ったということで(爆笑)、ひとりづづ簡単な自己紹介と、こんなことしているということを紹介していただければ。

浦沢●eATのeはエレクトリックのeらしいんですけど、iPadのあの動き(手で操作をまねながら)、あの動きが嫌いです。(会場爆笑) ますますデジタルが嫌いになっています。僕は10年以上丸ペンで描いていたんですけど、手塚治虫先生がずっと使っていたというカブラペンをちょっと使ってみてみたんですが、これがすごく描きやすくて使い始めたんです。ところがある時 漫画家の吉田聡さんとお酒飲んでいたときに、「僕今カブラペンなんです」と言うと、「カブラペンもいいけど日本字ペンだよ」と言うんですよ。日本字ペンなんて聞いたことなかった。吉田さんはGペンとかいろいろ使って日本字ペンにたどり着いたというんで、昨年末に取り寄せてみたんですけど、これがまあ書きやすいこと!

しりあがり●ふつうの所に売ってないんですか?

浦沢●日本字ペンで描くと、例えば「ベルサイユのばら」の巻き髪がずーっと描けるんですよ。(笑) これはものすごい出会いでした。これからの僕のマンガが変わっていくかもしれない。

しりあがり●巻き髪風ですかね。

浦沢●ベルばら風の.......というくらいに。それくらいアナログ人間なんです。

しりあがり●いやいや、iPadやiPhoneという時に、Gペンやカブラペンのお話がでるとは。
浦沢●日本字ペンですよ。

しりあがり●上手に掛けますかね? 僕でも(会場爆笑)

浦沢●あと最近の悩みが、スクリーントーンが日々廃盤になっていくんですよ。マンガの登場人物にはりつけるための、模様のパターンのシールみたいなものなんですが、 マンガって不思議なことに、キャラクターが同じ人にみえないといけないので、ほとんど服を着替えないんです。そのキャラクターの背広で使うスクリーントーンが廃盤になるとどうしようってことになってしまう。廃盤になると、透明のシートに昔のスクリーントーンをコピーして貼らないといけないんですが、どうしてもコピーだと質が悪くて。スキャナーで取り込んでコンピューターに取り込んで貼りつけていけば楽なんでしょうけど。 僕たちマンガ家をデジタルの方へ持って行こうという国の策略ですか? 絶対iPadのこの動き(手の動作)だけはすまいと思ってるんですけどね。そんなアナログな日頃です。

しりあがり●僕は今度日本字ペンを使ってみます。それで上手に描けるんであればー。
浦沢●マンガ家を志したことのある人なら全員「ああっ」と言いますよ。

しりあがり●わかりました。それを聞いただけでもここに来たかいがありましたけど。次は倉本さんのお話です。

倉本●倉本です。こんにちは。暗いと時間がわからへんわなぁ。日本字ペンいいですね。僕も使ってみようかな。ホントは何するもんなんですかね。

浦沢●やっぱり平かなに適しているんじゃないですかね。「あ」とか「お」とか、ペン先というのは方向性があって、曲線を描くとき裏返っちゃって、紙をベリッと破いたりするもんなんてす。その時のコントロールが手首にかかっているんです。
倉本●なるほど、手首に負担がかかっていると。

浦沢●年末に娘と赤坂サカスのスケートリンクにいきまして、転んでデーンと肘ついちゃって、いま肘が返せない〜。

倉本●そんな事情もリリースする漫画にかかっくるわけですね。娘とスケートで。 僕は人と会ってテレビの番組を作りをやっています。お笑いを進化させていきたいって思ってたら、進化させていける若い才能に出会って、彼と進化させていけばいいやんと思ってから、かれこれ25年くらいになったんでしょうか? それの影響をうけた若い人達も育ってきて、その次の世代の人たちがお笑いの中核を担う時代になってきました。テレビはみんな見るじゃないですか。帰ったらすぐにスイッチ入れる。番組つくってるこっちは全く憶えてなんですが、「あの時の、あの番組の、あの言葉が忘れられないんです。」とか言われて、別にTX(テレビ東京系)の世界の人じゃなくても、漫画家になってたりとか、音楽をやってたりとか言うときにとっても喜びを感じるんですね。 影響力が強いものだけに、出す側の責任、比重が重たいと思っていて、Hなものは流したらダメとかそんなんじゃなくて、人間の創造力を規制するようなことはやらないようにしようと思っています。これコント、ドキュメンリー、いったい何なの?というふうに、訳の分からないことも、一瞬不安なんだけれども、いいから産み出そうという姿勢でやっています。 ところが、そのようなことがなかなかやりにくい時代になってきていて、テレビ自体が、若い、血気盛んな人が見るもんじゃなくなってきているんですね。視聴率はテレビ番組を作るときは、真っ先に考えるんですが、いわゆるゴールデンタイムと言われる7時から8時代をみている人は、殆どがオバサン、40代以上の、マーケティングでいう、カテゴリーのF3なんです。別にオバサンがクリエイティブなこと嫌いだとはいいませんが、日常生活の仕事で疲れていて、考える番組よりも楽しみたいという感じで「どやお前ら、こんなん考えろ」みたいな番組やってみても、おもいっきり滑るんです。見ている中心層がそんなんだから。実験的なことやっていると、なかなか数字(視聴率)が上がっていかない。しかし逆に見てる人にあわせていると斬新なことができないっていう息切った状態なんですね。かなり危機的というか、その中でも多勢に無勢でがんばっているんですけど。 この前NHKから久しぶりに連絡があって、いっしょに番組を考えろということで、松本ひとしくんとMHKという実験的な番組をつくったんですけど、NHKは民放ほど視聴率にこだわってないし、僕達の番組をみて育った若い世代が、企画を出せる世代になってきたんですね。視聴料を徴収して成り立っているので、それほど視聴率にこだわりはない。おもしろい番組をつくろうという若い世代の人達がいたわけです。民放のように、スポーンサーがついていて、ストーリー作って、それで品格が決まっていくという訳ではないのです。僕達が「ごっつええかんじ」とか「ひとりごっつ」という番組で、民放でやってきた滅茶苦茶なことがいまやNHKだけでできるみたいな。 僕たちは、笑いの数をふやそうと思って、いろんなことをやってきたんですね。一度野球中継で番組が飛ばされた時は、「なんで野球のほうが大事やねん!」というふうに思って、もうそういうコントはやらないと決めたんですけど、12年たって、同じ兎年に、「NHKでやらへんか」ということになって、あの頃よりも、もっと先鋭的な、僕達がつくりたいものをやろうと思いまして「ダイナミック・アドベンチャー・ポータブル」というんですけど、みた人います? 日常から非日常に行くというものだったんですけれども、TVの中心にいわゆるファンがいるみたいな企画で、見る人が自分で突っ込むとどこまでもおもしろくなるんですが....。8%位の視聴率だったんですけれど。NHKではそれでもいいほうなんです。 この前、松本人志とビートたけしがはじめて組む2時間番組をやったんですが、裏のチャンネルのレギユラー番組に視聴率で負けてたんです。なんで見ないのかなと思っていたら、見た人がいっぱいいるんです。みんな録画撮ってみたというんですね。本当にみたいものは、録画で撮って後でゆっくり見ようという、でもそれでは視聴率に反映されない訳なんですよ。
浦沢●事務所のスタッフのテレビの見方をみてると、実況をみて、誰かがつっこんでいるのをまた見ているんですね。そして「つっこみうまいわ」という。自分はつっこんでいないんですね。最近はテレビの画面に字幕が出て、ここは笑うところですよって出たりするじゃないですか。あれよくないと思うんです。

倉本●はじめは字幕とか出さなかったんですけど、今は出さないとわからなかったりする。普段作っている側から言わせてもらうと、信じて欲しいと思って、ここは絶対というところだけに字幕を出していたんですけど、今はどこのシーンにもでるっていうふうに変わってきていて、もう見る側が考えなくていいように番組が出来ているんです。「考えろ」って思いますけど。

浦沢●江口寿史さんの漫画で「マカロニほうれんそう」から「ストップひばりくん」になったころ一世を風靡したのが、コマのあいだの余白のところに「何やってんだよお前は」とかツッコミを入れるんです。あれは完全に番組の字幕といっしょで、ここは笑う所ですっていう印ですよね。作者がツッコミを入れると読者とのやりとりが簡単になるんです。僕ももうちょっとでやりそうになったことがあるんですけど、そこで踏みとどまったのは、倉本さんがおっしゃったとおり、読者につっこませないといけないと思ったからです。読者に「こいつ何やってんだ」と思わせないといけないところを作者が説明してしまう。江口寿史手法と言うのかもしれないけれど、漫画界に蔓延した時代があったんですよ。

倉本●「そんな処をそういう風にとって笑ったんや」ということもあるんです。あっそうなんかと考えるというのは正しいと思うんです。解釈というのは自由で、見た方が勘違いしていろいろ広まっていくというのが、正しい方法だと思うんですよ。

しりあがり●ぼくも倉本さんの話聞きながらずっと感じていた事があって。見ている人が不安になるほど面白いものになるというのがあっても、なかなか受け入れられないという風にいわれますけど、読者がストレスを感じないように描くとか、メッセージを読む側にあわせて書いちゃうのは逆にキケンだと思うんですけれど。

浦沢●編集者でも、よく読み易くしろという人がいますが、その人が読むのが下手なだけじゃないかと思うんです。

しりあがり●小説でも書き手と受け手の共同作業ですよね。その共同作業の範囲が、漫画では主人公の顔とか描いてあって......。

浦沢●よく電車の中で漫画読んで吹き出したりする人がいるじゃないですか、あれは漫画を読むのが上手なんです。自分の間で読んでいるわけですから。漫画の場合は、作者がそういう風に読んでくれるとすごくおもしろいんだけどなっていう間が差し向けられている。そのり通りに読んでくれると僕らには本当にいい読者なんです。

しりあがり●(中島さんに向かって)リリーさん。広告の立場から言うと、伝える側と受ける側に必ず伝えないといけないことがあって、大変なんでしょうね。

中島●大変なんですよ。リリーさん来なくて!!(爆笑) まぁねぇ。今朝の五時まではどこにいたかは、鄭秀和さんが目撃して知っているんですけど、身体がタテにならないみたいなんですよ。横のままならこれるんでしょうけど。今リポートが入りました。(爆笑) 広告もまったくそうで、分かりにくいことはダメなんですよ。ちょっと飛んだこととか。 僕達だいたい50代ですよね。30代のヤング?が、「中島さんの言ってること全然わかりませんよ」と言われている訳じゃないのに、簡単にしてしまっていて「これ、わからへんからいいのよ。わかってしまったら何もいいことないんと違う」というのが、ものすごく大事やと思う。 コンピュータがアカン。インターネットがアカンのやと思います。すぐ調べられて、自由研究があっ言う間やで。本屋とか調べに行ったからよかったんやと思うんです。

浦沢●本屋行って頭で覚えるじゃないですか、ハードディスクとかないから。手塚先生なんか、本屋で歴史書のコーナーでちょっと立ち読みしてるなと思うと、その後の講演なんかで、関連した話が次から次へと話が出てくる。ちゃんと憶えているんです。いまの時代はハードデイスクにいれて安心してしまう。

中島●いまは携帯電話があるから電話番号を憶えてないですよね。僕ら若い時、電話番号憶えてましたよね。友達の家とか。いまは脳みそが全部ハードディスク依存になってきてヤバいなぁと。

しりあがり●最近歳のせいか、ものを覚えられなくなってきて、事務所でスタッフの人達に、「これ覚えといて」って頼んでおいて、人を外付けハードディスクって呼んでいるんですけど、これって人間的ですよね。

浦沢●さっき描いたリリーさんの顔だって、僕の頭のハードディスクに入っていたのを出して描いたわけで、写真を出してくださいって言ってないですよね。例えば、ピッチャーが玉投げる瞬間とか、最近は漫画家でも写真とか資料見ないと描けなくなってきていて、プリントしたものをトレースするとか、もっとひどいのになるとそのままスキャナーで取り込んで輪郭線に直してもらうとか。

しりあがり●信ぴょう性はわかりませんけど、インターネットやっている時と、何か考えているときは脳の使い方が違うといいますよね。 いろんな処から、いろんな事を集めようとする時と、一つのことをじっくり考える時の脳の使い方は違うと思いますが、ネットに慣れ過ぎると、脳がそれ用になっちゃうのかもしれません。今回のテーマ「メイド・イン・ジャパン」ということなんですけど、浦沢さんはフランスのアングレームで賞を受賞されましたよね。これまでも日本からは水木しげるさんとかも受賞していて、もう12回くらいになるようてすけど。

浦沢●漫画をコンテンツというのは禁止ね。僕は一度もコンテンツというのを作ったことがない。

しりあがり●コンテンツというとお金の臭いがしますよね。

浦沢●漫画描いたことがない人がコンテンツというんですよね。何か「ベニスの商人」みたい。すごく違和感がありますね。

倉本●日本の漫画がいち早く世界に浸透していることはスゴイと思いますよ。漫画家ほどクリエイティブな人はいないと。 まぁ、いろんな人がいますけど、まあ会議でプロデューサーがいる場合もあるでしょうけど、考えて、描いて、ストーリー作って、発想も何も一人で作っていく訳じゃないですか。日本の漫画家がスゴイところは、そういうところがスゴイいからだと思うんですけど。

浦沢●僕がデビューした「パイナップルアーミー」という作品がスペイン版とかつくられた時、見開きが逆ですから。アルファベットの文化は、文字を右からではなく左から読むので、絵を裏返しにしたんですよ。読む順番が逆になるので。僕の記憶では、大友さんの「アキラ」も裏返しです。大友克洋さんは、傑出したデッサン力ですから、案外、裏返しにしてもナントカなるんですが、銃を左手に持っているといったことがおこっちゃうんですね。僕はパイナップルアーミーの時にそれが耐えられなくって、自分の絵が裏返しになると壊滅的で。なんとか日本と同じにできないかなと、ずーっと働きかけてきたんですげど。十数年前から、ヨーロッパのコミックスは日本と同じになって、読む順番が、コミックスに描いてあるんです。 僕の記憶だと、裏返しにせずに、そのまま出版するようになってから、ぐんと輸出量がふえるんですよ。本来、僕らの描いている絵がそのまま出せるようになった時に、本当に伝わり出したという、向うの人たちも、日本の漫画がすごく面白いと思うようになったんです。

倉本●絶対そうですよね。

浦沢●欧米の人たちに、こう読めというやり方を浸透させていったじゃないですか。それってスゴイと思うんです。

倉本●いろいろい全部教えていってやらないと、わからないんですよね。読み方まで、黙ってついてこいというか。

しりあがり●日本人の笑いの質は相当高いと思います。ただ言葉の壁というのは大変です。

倉本●日本の笑いを海外に出すのは、やはり映画からと思って映画をついに出したんですよ。日本人の場合は松本人志を知りすぎている。 「これおもろいんか?昔の松本はおもろかったけど」というような、常に新しいことばっかりやっていると、昔は面白かったとかいわれるんで、もう知らんと。そこで映画をつくったんです。フランスのきびしい映画評論家がすごく評価してくれたりしたんです。その次は、言葉を排除した作品を作ったんです。日本人はようわからんという顔してみてましたけど。 でも韓国の釜山の映画祭へもっていったらもの凄くうけて、もうゲラゲラ笑っているんです。そういうことを少しづづ経験しながら、日本の笑いを伝えようとがんばっているんですけど。 日本食の味なんかもやっと伝わってきたというか。すごいんですよ。ホント。 よく言いますよね。虫の声を日本人はいろんな風に感じるけど、欧米人はうるさいとしか思わなかったとか。虫の声を音楽の中にビートルズが取り入れといるんです。『アビイ・ロード』(Abbey Road)のアルバムのなかの曲に、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが結婚して日本人ってスゴイと思ったのかはどうかはわかりませんが。 そのくらいスゴイんですよ、日本は。

しりあがり●世界の何十億の人を敵にまわして.......................。

中島●ちょっといいですか。さきほどからいろいろやりとりがありまして。(メモを書画カメラに。) (メモを読む)「なんとかおこしているんですが。」 あの.....リリーさん一応ムサビ(武蔵美大)の後輩なんですけど。 「起きようとしています」 「あきませんわ、ダウンしたまま」こんな感じですかね。(描いたイラストを書画カメラに) そこで、はい (リリーさんの十字架にはりつけ絵) 会場爆笑