eAT'11 セミナーB

「メイド・イン・ジャパンの音楽」

 

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川井●みなさん、寒い中ありがとうございます。きょうは僕のお友達三人、鷺巣さんはこのために遥々ロンドンからお越しいただきました。 いきなり余談なんですけど、大森さん、鷺巣さんと僕は同い年なんですよね。

田中●なんでボクだけのけものにするんですか(笑)。川井くん声のトーンがさっきから暗いからもっと上げて。楽屋の時とトーンが違うじゃない。

川井●まじめにセミナーやろうと思ってるんですよ。いきなりつっこまれてもですね......。

田中●田中でございます。編曲とか歌手もやってます。「ワンピース」とか「サクラ大戦」の曲を手がけました。 これまでいっぱい曲書きすぎたんで、これからの人生は、ライブ活動でもゆっくりやるかと思っているところです。そこにいる人(川井さん)なんか仕事やり過ぎですよ。

川井●いえいえそんなことないです。僕、仕事遅いから、いろんな人にすごく迷惑かけてますから。

田中●劇伴(劇中音楽)の話しますけど、よろしくお願いします。

鷺巣●話がものすごく苦手なんで何かお願いします。

川井●みなさんご存知の「エヴァンゲリオン」とか「笑っていいとも」の作曲家鷺巣さんです。

鷺巣●あれはもう30年前になるんで、とったときの音をはっきり憶えてないんですけど。

川井●30年前だったら、僕アルバイトで、秋葉原でカーステレオ売ってた頃です。

大森●僕は音楽家になるつもなんかなくて、電子工作みたいなことが好きだったので、その頃の秋葉原によくいきました。

川井●ジャンク屋さんとかいっぱいあって面白かったんです。秋葉原が今みたいになるとは思っていなかった。

大森●大森です。僕のデビューは「たけしの元気の出るテレビ」です。

鷺巣●僕も「たけしの元気のでるテレビ」の仕事やったよ。バラエティということだったら、この4人の音楽が同じ番組で流れることもあるんじゃないですか。

田中●僕はよく、川井くんのレコーディング邪魔しにいくんですよ。2時間くらいとめるんです。

川井●僕が一生懸命やってるのに、いろいろ突っ込んできて、あの時酔ってませんでした?

田中●もうちよっとこうしたら、とか、この音どぅって、シンセサイザーを触ったり...... 本来、同業者は仕事場ではぶつからないんですけど、歴史的ですよね。4人そろうなんて。みんなで飲みに行ったの20年くらい前ですよね。それくらいあってないというか...    
川井●本当に懐かしい顔ぶれですよね。

鷺巣●僕は、いろいろなアーティストや歌手の曲もつくっているんですけど、ほとんど本人に会ってないですね。

田中●よく言われるんですよ。「あの仕事したんでしょ。あの歌手紹介して」とか「一発当たるとすごいでしょ」とか。こういう下世話な話が多いですよね。「どうやって当てるんですか?」とか。

川井●そんな感じで、今日のテーマをお話ししたいと思います。今日のテーマは「メイド・イン・ジャパン」ということです。僕が以前に、ある外国の映画の仕事をした時に、東京の映像なんですけど、外国みたいに見えるんです。何もエフェクト(特殊効果)とか使ってないのに、日本人の監督が撮るイメージとはあきらかに違ってるんですよ。これはいったい何処からきてるんだろうと思ったんですね。それがスタンダードだとすると外国の人が観た日本の映画って、かなりエスニックなんじゃないかと思いまして。日本人の感性は特殊なんじゃないかと思ったんです。 一応この話にそって話していただけたらうれしいですね。

田中●すごくわかりやすいところから入ると、日本のアニメソングが世界中に出ていって、いまや輸出産業として見られるんですね。J-POPが世界でもてはやされているかというとそんなことはなくて、ビートルズはじめ、ずっと音楽は日本の輸入産業だったんですよ。そのアニメソングが輸出産業になり始めているんです。これは日本人ならではのシンパシーとか世界観が、世界でも異質なものとして受け取られていたからこそ、ついに輸出産業になりつあるという風にみているんですけど。

川井●外国の人からみて、アニメソングってどういう風にみてるんでしょう?

田中●メロディが太いというか、分かりやすいですよね。中にあるスピリッツというか、熱血だったり、ジャンプの「友情・努力・勝利」とか、感情が外向きなんですよ。今のJ-POPは、「君と僕と...」というような内向きなんです。日本のアニメソングの場合は、ちゃんと外に向けて発信しているというか、そんなところが受けているんじゃないかと思いますけど。 日本のアニメのコンサートに、スペインでも8000人くらい集まるんです。

大森●伝統的な民謡などではなく、いろんな世界の音楽を取り入れてJ-POPが成り立ってきたんですけど、日本てすごく真面目に世界の音楽を研究して、本当に咀嚼してやっているから、描写がすごく正確なんです。外国人が日本のイメージを音楽で表現すると「チャカチャンチャンチャン」っていう感じで中国風になったりするけど、日本人がアニメでヨーロッパ風のサウンドをつくるとすごくぴったりするものをつくる。アニメは非現実的な世界観を現していることが多いので、そういう時の作り方が緻密になるんじゃないかと思うんです。

川井●僕らの聴いてきた音楽は、洋楽が多かったじゃないですか。僕はちゃんと勉強してこなかったので、偉そうなことは言えないんですけど、クラッシックやってらっしゃった方は、身体にそのエッセンスが染みこんでいるハズで。逆に日本の伝統的なものにふれる機会は少なかったんじゃないかと思います。でも身体の中には日本独特のものがあると思うんですけど。カレーが日本に入ってきて、日本独特のものになっていったように、身体の中に出来上がったものがあるんじゃないかと。ただその感性の正体が何かを知りたいと思ったんですけど。

大森●メイド・イン・ジャパンのクオリティ感というのがあると思うんですけど。例えばアメリカンポップスが日本に入ってくると、歌詞が日本語になったりしてかなり変わると思うんですけど、結構ツボを抑えるのが上手、いい音楽のポイントを掴むのが上手なんだと。

田中●鷺巣さんに聞きたいんだけど、ロンドンでレコーディングするとき、向うのミュージシャンと組むわけですけど、鷺巣さんが日本人ですごく有利だったことあります?

鷺巣●僕の場合、譜面書きだから口で説明するよりも譜面をぱっと見せる。「こいつ誰だ」ということもあれば、オーソリティ的な扱いを受けることもあるんです。譜面というのはもう400年以上も残ってきたもので、いまはデジタルデータたげど、データなんて何年残るか分からないんです。でも譜面は風雪に耐えて残ってきたきたから、きちっとした譜面さえ書けば、どんな言葉のところにいってもコミュニケーションがとれるという前提があるので。さっきの話でいうと僕も70年代からイギリス人とバンドをやって、80年代からはずっと向うに住んでるんですけど。いままでも日本の音楽は海外に出ていこうとしたし、日本ブームというのもあったんですけど。日本人が出したがるものと外国人が欲しがるもの、外国といってもいろんな国があるから、この国にはこんなものを出すといったことが乖離しているんです。日本の日常のものを出していなかった。海外にお土産を買おうすると、普段買わないようなものを買うじゃないですか。その当時ならユーミンとか普段日本人が聴いてるものが本当はお土産になるんです。セミナーAで浦沢直樹さんがコンテンツと言われると抵抗感があるといってましたけどその通りで、どうしても国が表に出そうとすると違うことになる。シンクロナイズドスイミングの音楽って、川井さんの曲とは真逆で変に和を入れてるんですが妙なものが出来上がっている。日本人でもお正月にも聴いたことがないようなものになるんです。 いまのような情報があふれる90年代以降は、それはないだろうとなる。 アニメソングは、初めて、日本が出したいものと海外が欲しい物の、ニーズが合致した例と言えるんじゃないかと思います。80年代、パリで仕事を始めた時代に、フランス人、イギリス人、アメリカ人がいて僕がいたんですけど、まあ世界の縮図みたいだと普段がドラマチックになるんですね。でも日本のもので、そのころ太刀打ち出来るようなものはなかった。90年代から、いろんな情報が海外に出て行った頃から、まず第一に日本に行きたいという人がふえた。それは単純に「秋葉原にいきたい」とかいう動機で。以前ファッションデザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)が日本に来たときに歌舞伎をみてその影響をうけた作品が出てきたというけれど、もともと彼はそういうものを持っていたからであって、本当は歌舞伎に影響をうけたわけではないんですよ。偉い人が日本に来ると、相変わらず歌舞伎見せたり、相撲につれていく。せっかく日本にきてもらっのに、秋葉原とか外国人も行きたところは全然違うんです。彼らにどこ行きたいが聞くと、渋谷の交差点に行きたいというんです。

川井●僕は海外の人にお土産は、よく扇子をもっていきましたけど。(笑)

田中●伝えなきゃいけない日常というのがあると思うんですけど、日本人は日常のことにコンプレックスがあるんじゃないですか?

鷺巣●日本人が、ロックにどうもうまく日本語がのらないと悩んていたときに、フランス人も同じようにフランス語がロックにのらないと悩んでいたんでは? ポップスがイギリスやアメリカのものというコンプレックスは、フランス人もドイツ人も同じようにあったと思うんです。それが変わったのは、ヒップホップというジャンルの曲が出てきた時。どこの国の言葉でもいけるんじゃないかと思えたんですね。

田中●新しいジャンルの創作というのはありますね。日本のアニメソングは、世界的に見て新しいジャンルなのかもしれない。それは日本発な訳で、世界の人がなんと言おうと、日本人が正しいとおもうことをやり続ければいいわけです。顔色をうかがうことはない。

川井●アニメはそれこそ日本という閉ざされた中でつくってきて、外国のことを考えてませんから。

田中●ほんとにガラパゴスなんです、30年くらいみんながほっといてくれた。世間の人が、歌謡曲だ、J-POPだと言ってる間に、勝手にシコシコやってきたんです。そのうちどんどん大きくなって、海外が認めたとう話なんです。こうなりたいとか、こうしたいと思ってた訳ではないので、逆にそれがメジャー資本とか大人の事情の人たちがどんどん入ってきてタイアップとかいろいろな条件がつくようになってきちゃったんですよ。そういう流れだからしかたないんですけど。

大森●世界のゲーム機のかなりの数を日本が作って、たくさん売るためには音楽がいるってことでゲーム音楽を作ったわけです。僕も昨年、ファイナルファンタジーの曲作りに関わったんですけど、世界にファンがいるわけですよ。情報も特化しているんです。ゲーム中にずっとこの曲を聞くわけですから、一人の作家のイメージが大きくて。さっき田中さんが言っていた「自分たちのためにつくってきた」ということなんでしょうね。

田中●「オタクがキモイ」という国と「オタクがクール」という国の違いですよ。(笑) 私はいつも思っているんですけど、日本ではオタクという言葉がどんどんネガテイブなふうに広まっていますけど、世界的にみたらオタクは超クール、それだけ専門家という事ですからね。日本人が一番わかってないというのが僕はさみしいですね。

川井●オタクっていうのは、好きなだけなんですよね。だったら大森クンなんか電車オタクかもしれない。

大森●僕は海外行くときは、たくさん写真を撮るんですけど、電車の写真撮ることが多いんです。電車の正面の形が全部(人の)顔に見えるんですよ。「あ、この国の顔」って感じで。(笑)

田中●てっちゃん!!

鷺巣●よく工事中にマンガで工事の人がお辞儀して「ご迷惑をおかけしています。」って描いてある看板あるじゃないですか。あれってとっても日本的なんです。なんでもマンガで伝えようとするんです。「スピードの出しすぎ注意!」とか描いて、その横にすごく寒いマンガが描いてある。日本独特だと思うんだけど、最近、アメリカでもヨーロッパでもちよっとずつ増えてきているんですよ。さっきオタクがクールといったけど、世界の日本化っていうのは、細かいディテールに現れています。20年前に向うで生活していたころはなかったファンシーグッズ、車に乗ると、カップの受け皿がありますよね。日本では非常にニューファミリー的なものだったんですけれど、90年代からは、海外でもああいうものを付けるようになったんです。車のサンシェードにキャラクターが描いてあるなんて考えられなかった。昔はディズニーだけだったんですけど今はキティちゃんです。我々が生きているうちはダメかもしれないけれど、30年くらいたったらキティちゃんがミッキーマウスにとって代っているかもしれない。いたるところに日本化がある。フランスのシェフが日本に修行に来ています。70年代に日本のファッションデザイナーがみんなフランスに修行にいったりした裏返しの現象があって、日本に来て何かを掴んで帰って、向うで活かすということが日常でおこっているんです。日常的な事からアッパークラス向けのクリエイターまで、日本の物を取り入れたいという流れが地鳴りのように押し寄せいてる。

田中●日本人は自信を失いすぎているんじゃないでしょうか。日本語自体が世界的に見ても日本でしか通用しないじゃないですか。世界に行くと、日本語でしゃべっても誰も振り向いてくれない。でも海外行くと人気のアニメソングは全部日本語で歌うんです。日本人の歌手が海外のコンサートで歌詞まちがえると日本語でつっこまれる。これって僕達がビートルズー「イェスタディー」って歌っていたようなもんなんです。スゴイことじゃないかと思うんですよ。 もう日本語でいいじゃないですか。今度フィンランドとドイツでライブコンサートするんですけど、オール日本語でやってやろうと。「こんにちは」くらいは現地語で、他は全部日本語でやろうかと。すべったらどうしようかと思いますけど。

大森●わかりやすさだけを追求する訳でもないと思うので。アニソンというのは、アニメがなければありえない。ポピュラーソングもアメリカで映画と共に発達したものであるわけで、何かにくっついて出て行ったりするということです。

田中●ディズニーは日本でも権利にうるさくて、絶対にこの音楽は変えないと言うんです。日本はいまだに屈辱外交をやっていて権利を売り払っている。端的な例を言いますと、ポケットモンスターがアメリカでTV放映される時、音楽をかえろといわれて変えゃったんです。オリジナルの作者に変えますという断りもなく、向うでテレビにみてると曲が違う。ディズニーは絶対そんなことしない。日本でも絶対そんなことしない会社があります。ガンダムのサンライズです。まったく変えなかったので、ガンダムはアメリカでは放送されない。日本のサンライズに権利料を払いたくないから。彼らは権利料を払ってまでも放映しないんですよ。でもそれでいいじゃん。ディズニーが日本来たら曲全部変えちゃうと言えばいい。私もワンピースの曲をアメリカでは勝手に変えられちゃってます。アメリカはタバコのシーンがダメで、登場人物がタバコすうシーンは全部飴玉なめるシーンに変えられちゃって、ヒットせずにもう放映終わっちゃいました。多くのアメリカ人がなんでワンピースをみたかというと、YOUTUBEで日本の音楽と日本語のセリフのものを見てファンになった人たちなんです。タバコもすわない、血も流れないというふうに変えちゃってはダメなんです。

川井●ワンピースも日本語じゃないと受け入れられない。それは素晴らしい意見ですね。

大森●マンガとかアニメに関して、外国の人は子どものものと思っているんですから。我々は大人の文化として持ち上げていったんですよ。向うで、そんなもの子供にみせちゃいけないっていう一部の親のチカラでそんなふうになっていると思うんです。大人にもわかるように作っているということをみせないと。

田中●日本でも15〜6年前だと、やっぱり子供に見せられないねで終わっていたのが、ヤマトガンダムでファーストインプレッションをうけた世代が、そういったことを決められる世代に成長したということです。あと10年もしたら、それこそハンコ押す地位になるからね。もうこっちのもんですよ。(笑) 海外でのファーストインパクトは、セーラームーンやエヴェンゲリオン、ドラゴンボールですよ。

(文責 事務局)