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セミナーA
Movie「映画とコンピュータの関係」

掛須秀一(映画編集・ジェイフィルム社長)
仙頭武則(映画プロデューサー・「WOWOW」映画部課長)
利重 剛(映画監督・俳優)

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■SeminarA

掛須秀一氏

掛須:私たちがデジタルで関わってきたのは、ノンリニア編集で、1991年に入った頃からです。CGや合成など、どんどん広がっていき、編集機というだけでなく、医療や建築業界にも使われています。 AVIDという編集機は、マッキントッシュがベースですから、さまざまなツールを使い効果 的に活用できます。 大きく分けて、映画の工程は、プリプロとポストプロとに分けられます。ポストプロは、撮影から実際のフィルムにするまでの行程、プリプロは、撮影までのプロデュースのところの工程を言います。今回は、ポストプロを中心としたお話をさせていただきたいと思います。 掛須:私たちがデジタルで関わってきたのは、ノンリニア編集で、1991年に入った頃からです。CGや合成など、どんどん広がっていき、編集機というだけでなく、医療や建築業界にも使われています。 AVIDという編集機は、マッキントッシュがベースですから、さまざまなツールを使い効果 的に活用できます。 大きく分けて、映画の工程は、プリプロとポストプロとに分けられます。ポストプロは、撮影から実際のフィルムにするまでの行程、プリプロは、撮影までのプロデュースのところの工程を言います。今回は、ポストプロを中心としたお話をさせていただきたいと思います。


仙頭武則氏、利重 剛氏

●仙頭:プリプロのコンピュータ導入についてお話しします。プリプロは、お金が絡む仕事です。日本映画は、どんぶり勘定でしていたものを、アメリカのポストプロのよいところを取り入れようという動きで、コンピュータで予算管理するようになりました。 また、昨年ニューヨークで映画を作った時には、今まで台本の送り受けで1週間かかったのが、電子メールを使ったら、1本の台本が数分で送れ、赤入れして返すことができました。ドラフトビューアというソフトは、シナリオを書いて、赤入れして送れます。 コンピュータを導入する目的は、コストダウンです。コストダウンは、まず日数の短縮が一番大きく作用します。これに、コンピュータが大いに役立つということです。
利重:映画とコンピュータの関係といいますと、合成などに使われることを連想すると思いますが、私の場合は、映画とCMを作っていますが、AVIDとヘンリーというデジタル編集機を使っています。パソコンは、ほとんど使っていません。編集では、AVIDを使うようになって、本当に楽になりました。例えば、今まで手作業でフイルムを切ったり、つないだりして、編集していましたが、切ったフィルムを元に戻すとなると、そのフィルムを探すにのに、大変な無駄 な時間を浪費していました。ビデオでも、5フレームを短くするとなると結構大変な作業になります。デジタル編集にすることにより、ビデオの欠点、フィルムの欠点をうまく補ってくれます。また、何度もやり直しが利くので、いろいろ試して見ることもできます。このようなことから、作品のクオリティを上げることに専念できるようになり、デジタル技術が欠かせないものとなっています。
 
●掛須:プロデューサーの方から見て、ノンリニア編集で変わったことは?

●仙頭:プロデューサーは、映画に関する全ての調達責任をやらねばなりません。だから、コストをキッチリ管理することが重要。特に時間の管理がコストに跳ね返りますから、編集の作業上のくだらないことで時間をつぶすよりは、中身の話に時間をかけれるのが1番のメリットです。

●掛須:編集は、根本では奥の深い理論もありますが、理屈ではないと思いますが。

●利重:AVIDが1台あれば、プロデューサーが思うものも、監督のものとは別 に作成して、比較することができます。偉い編集さんは、それはこうではない、成立しないと言ってつないでくれない。私は、皆に意見を言ってもらって、その人の意見を入れるかどうかは、自分に主導権があると思っていますから、それを切り崩して、ベストのものを制作できるようにしています。

●掛須:それでは、AVIDがどういうものか、デモビデオとそれを使ってできた映画を一部編集しているものを見てください。

(AVIDのデモビデオ)
説明:AVIDは、アップルのマッキントシュをベースに作られています。エディト、イフェクト、リゾルブなど今までフィルムでしていたことが可能です。映像は、圧縮してあるので、オフライン機として使用します。オンライン機としては、ヘンリーなどを使います。操作は、ほとんどマウスのみでできます。「Love Letter」、「BeRLiN」、「ユーリ」などAVIDで編集しました。
 
●掛須:作業としては、フィルムをテレシネにかけ、ビデオにし、デジタイズして、ハードディスクに入れ高度ディスクアレー処理をします。現場で取ったDAT録音を順次張り付けていきます。これで、編集を進めていきます。「BeRLiN」は、編集に2週間とっていましたが、ノンリニア編集を使ったので、1週間でできました。従来の方法であれば、2週間は完全にかかっていたはずです。

●仙頭:監督のベルドリッジは、いつも編集に1年をかけていましたが、「シェルタリングスカイ」では28日で編集したということで、AVIDのノンリニア編集が有名になりました。 掛須:まだ、日本では、映画でAVIDを使っているのは、私のところの1台しかありません。

●利重:AVIDを使うようになって、ノンリニア編集で制作することを前提に考えるようになりました。今までは、頭の中で、フィルムを無駄 にしないように、カット割りをして集中力を高めてやってきました。これがいい効果 を生む場合もあります。しかし、編集の時、ここは大変なカットだからとこだわることもあります。これに対して、ノンリニア編集では、素材を多く取って、後でいろいろ編集できる良い面 もあります。

●掛須:コストバランスを考えますと、フィルムが増えますから、コスト的に成り立つのかという問題が出てきます。さらにダイヤラ・ホフマンという女性のポストプロデューサーの話では、ハリウッドでは、ポストプロはコスト比が5%だったのが、今では35%になりました。これは、カットを合成などで作るようになってきたからです。これから、ポストプロの比重が高まってきます。
 

●仙頭:昨日、マイケル・バックスさんが言っていましたが、CGも行きすぎると良くないと。ダイハードという映画では、ニューヨークの爆破シーンをCGで制作しましたが、それが本当によいのか、映画にとって可能性を広げることにらないのではないかと思います。宇宙であれば、見えないこともあり、想像しないとできないので、理解できますが。

●利重:黒沢明監督が、撮影であそこの家が邪魔だから、すごいお金で壊したということがありましたが、今はできませんからCGにするというのはあると思います。今までは、このような問題の時はよく考えて、イメージを練り直し、解決をしてきました。それで、当初考えていた以上に、イメージが作れたこともありました。「アポロ13」では、置けるわけがないところのカメラアングルで映像ができていて、本物のように見えます。何でもできますが、安易な活用では、それは本当のものになかなかなりません。自分の頭にあるのが1番よくって、皆で考えて考えて、奇跡のカットができればすごいことです。そういうことが、本当は大事なのではないでしょうか。

●掛須:15年前、作家やアニメーターとの中で、アニメは想像したことが何でもでるからよいという話がありました。でも、大御所の宮崎駿監督などは、映画から入った人なので、カメラを置けるアングルを前提にして作製しています。押井守監督は、アニメにレンズはありませんが、レンズを介して映像を考えています。夢とか頭で考えたものは、距離や時間がいい加減です。映像は、それを敢えて作ることによって、表現を広げるということだと考えています。甲殻機動隊では、コンテの脇に、何mmレンズと書いてあります。若いアニメーターに、レンズの効果 が何かを伝えながらやってきました。

●利重: 結局、内容、すなわちコンテンツだということに行き着きます。やりたいこと、見せたいことが、重要で、CGなどの表現手段は後で考えろということなのでは。

●仙頭:そうです。ガメラの特撮の樋口さんもそう言っています。
 
●掛須:それでは、少し話を変えて、アメリカでデーリーエディットというシステムがあります。そのことについて、お話しします。編集というのは、撮影が終了してから行いますが、デーリーエディットは、AVIDを現場に持っていきます。そして、カメラのわきにCCDカメラを付けて、モニターで映像を確認します。撮影監督は、監督と一緒にその映像を確認し、OKを出します。それをVTRに録画して、AVIDに取り込み、撮影し終わった段階でつないで、取り出したいアングルの確認をします。編集データをロスのスタジオにメールで送ります。撮影済みのフィルムは、現像してからビデオになって戻ってきます。先に、編集データが来ているので、それを入れてやりますと、きれいな形にエディットされます。それを1週間か10日間後に、現場に返すというやり方をします。

●仙頭:黒沢監督もフィルムが現像されますと、翌日つないでたと聞いています。

● 掛須:スピルバーグは、「ジュラシックパーク」の撮影の後、ポーランドで「シンドラーのリスト」の撮影をしていたとき、衛星回線を使ってデータを送ってもらい、「ジュラシックパーク」の編集をしていました。

●利重:これは、作品の流れを見るためにつないでいるのですか。

●掛須:そう。これは、あくまでも最終の編集ではなくて、その後チャントもう一度編集をします。あくまでも、検証用です。

●仙頭:ともかく、つないでみてみたいというのはありますから、それができるのはよい。本当に、現場にクリエイティブな作業のために、コンピュータやデジタルが有効に使えるのがよい。
 

●掛須:話は変わって、ドミノという映画用のシステムは、絵の合成・修正などがリアルタイムでできるものです。今まで、フィルムをテレシネにしビデオに落としていたのが、フィルムから直接スキャニングして、3色分解して、映像を取り込み合成をして、またフィルムに焼き込むことができるものです。世界中に8台、日本に1台しか入ってない。このデモを見ていただきたい。

(ドミノのデモ)
説明:SGIをベースにした、1セット3億円くらいの機械です。 操作は、キーボードはほとんど使わずにできます。昔は、オプティカルプリンターでフィルム上で2つの絵を合成させたり、フェイドイン・アウトなどをしていたものが、この機械で簡単にできます。また、クロマキーとか、爆発のイフェクトなども素材がなくてもできます。

●浜野:これ以上話をしていますと、レベルが高くなってくるので、代表して質問をします。 「アポロ13」で、見えないショットの映画ができています。今の若い人は、ビデオゲームで見えない映像を見ています。「スターウォーズ」もビデオゲームの感覚をうまく取り入れて、それを大型でリアリスティクに見せています。パネラーの方々のように、映画魂を持った人から見ると、ハリウッド映画に若い人を取られていると思いますが、どのように思いますか。

●仙頭:「スターウォーズ」は認めますが、「ダイハード3」のニューヨークの爆発は否定します。これは、見えない宇宙を見せてくれるのは大いにやって欲しい。そうでない、例えば、マシンガンで人を殺すのをCGで作って、簡単に多くの人を殺しているのはどうかと思います。そんなのにCGを使うのか。悪夢の映画もあっても良い。でも、何人死ぬ のかわからない映画を見て感動したという人がいますが、こんなにたくさん死んだ映画で本当に感動するのかという、これは良識の問題です。その良識を送り出す方が持っていないといけないと思います。要は、CGも使い方の問題です。

●利重:「アポロ13」のようにカメラアングルがどこにでも置けるということは、驚きです。どこでも置けるとしても、やっぱり一番何を取りたいかです。驚かすためのアングルしか考えなくなるというのは、危険だと思います。やっぱり、スピリットがないとダメだと思います。
 
●浜野:萩野さんが会場にいらっしゃいます。以前から映画に携わってこられていますが、どうでしょうか。

●萩野:89年に初めて、AVIDを見たときのことを懐かしく思って聞いていた。 日本は、ハリウッドと互角に戦えるのに、意気地を失っています。仙頭さんが言っていたように、日本では、損をしないギリギリまで映画作りをやろうとします。だから、渋とく生きていますが、一線を越えられません。 とにかく、若いと言うことは重要で、実行することだと思います。具体的なものを作ることだと思います。そうゆう意味では、デジタルというのは、敷居が低くなってきて、やりやすくなってきたと思います。

●掛須:まとめると、昨日のマイケル・バックスさんの話の中に、キャメロンが動いて、アクタレスの映画をつくろうとしていると言っていました。それで、彼は日本のアニメーターを引き抜きにきました。なぜ、アニメーターにこだわるのか。モーションキャプチャ手法で人間の動きをデータ化しますが、その動きには限界があります。これを越えるには、想像力が必要であり、リアリティのあるものを描けるのは、日本のアニメーターだと断言しています。3年先に、彼らと組んで、創造性の高い作品をアクタレスで作ろうとしています。日本から2人ほどハリウッドへ若い者が行きましたが、皆はハリウッドがアニメに向いていないということで、無視をしています。キャメロンの発想ではありませんが、映画、アニメ、ゲームこの3つが融合していきますと、いろいろおもしろいものを創っていくことができるのではないでしょうか。
 
(セミナーでの発言から一部を抜粋して掲載しています)
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