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セミナーB
「アートとデジタルテクノロジー
 アーティストにとっての表現環境の変化とは」

岩井俊雄(メディアアーティスト)
うるまでるび(ビジュアル・アーティスト)
コーディネーター:池田洋一郎(株式会社ブラックブルー代表取締役)

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■SeminarB

●うるまでるび:うるまでるびと言います。「僕がうるま」で、私がでる びです。うるまでるびって言うのは何語ですかとか、うるまでるびさんて何人 ですか?と良く聞かれるのですが、見てのとおり100%日本人です。うるまでるびと言うのは、完全に言葉のゴロだけでペンネームを付けています。 僕がうるまで、彼女がでるびなんですが、ここに出ている左側の男の子がう るま、右側がでるび。実はキャラクターのほうが先にありまして、僕らがこ ういう仕事を始めるときに本名では面白くないから何か考えようと思ったとき に、彼女が高校時代から書いていた、うるまちゃんとでるびちゃんと言うキャ ラクターが、男の子女の子であったので、そのまま、今日からうるまになるわーと言って、彼女をでるびにしました。 僕らは落書きが大好きで、二人でよく落書きをしているんです。そうすると面 白い形が生まれてきます。それを二人の間で、ちょっと俺にも書かせてよ!とかって言って、行ったり来たりしている間に、だんだんキャラクターとして完成していきます。ここに出ているようなキャラクターを二人の落書きから生まれたものなんですが、言葉について言うと例えば、上にある唇のあれは、草ビルと言うんですが草でありながらヒルであって、人が来ると、ブチューッと吸い付いて血を吸うとかですね、そう言う言葉遊びと、キャラクターの形の面 白さ、色の綺麗さみたいなことを作って言っています。キャ ラクターがある程度出てくると、それをそれが持っている世界のようなものを表現したくなりますから、先ず、考えられるのはコミックスであるとかイラ ストとであるとか手軽な方法で形にしていきます。この辺はその中でコミッ クスなんですが、これは「ねーねー」という雑誌で連載をしている旅のコロッケさんが旅に出るんですね。危ないところを海老さんに助けられる。お礼に衣をあげ、それを着ると海老を今日から海老触れあおうと言うような簡単なくだらないんですけど、こんな感じで、出来たキャラクターを形にしたりしているうちにですね、キャラクターに触りたくなったときは 粘土にします。この辺は全部粘土を写真撮影したものなんですが、因みにあの縞縞のあれは、泣き虫毛虫という。今にも泣きそうな顔をしているキャラク ターなんですが、もうちょっとダッコしたくなった時は、下のものが全部そう なんですが、ぬいぐるみにしてみます。そんな感じで、いろんな形で自分達の持っている世界とか出来上がってきたキャラクターが持っている世界を形に していってたんですが、アミーガーというコンピューターがここにあります。 これに出会ってから、その落書きとか凄くいい加減 な気持ちでこのコンピューターを使うとアニメーションが出来ると言うことを覚えまして、90年頃はアニメーションばっかりこれで作っていました。これは本当に落書き気分でお仕事とか、さっきのこういうものになるとどうしても、落書きしたときののりからちょっと離れてみて清書すると言う感じがあるんですけれど、アミーガーというコンピューターは清書するという気分を殆ど持たずにアニメーションが最後まで出来てしまう。しかも二人だけでできてしまうというのが凄く面 白くて、アニメーションばかり作っていました。
 

 

それが、ある日テレビ関係の人の目に止まりまして、テレビの仕事をするようになりました。これからご覧頂くのがその92〜3年頃、岩井さんと出会った頃ですが、「ウ ゴウゴルーガー」という番組、その前に巨泉の「使えない英語」という番組が あったんですが、それの中のキャラクターデザインとアニメーションを担当し ていました。ママガウロというシリーズなんですが、ママガウロシリーズ、それからウゴウゴルーガーでやっていたシカトというシリーズ、それからブルタブちゃんというシリーズです。ウゴウゴルーガ、朝の番組ですから朝御飯時に思いっきりやっていたんですが、この頃はウゴウゴルーガーが週に月金で5本分、 それからママガウロは日曜日の放送週1本で、計週に6本をですね、たった二人でまだアシスタントもいなかったので、たった二人で毎週作っていました。 それが一年半位続き、その期間だけで300本とかぐらいのアニメー ションを作っていたことになります。ストーリーは勿論のこと作画・編集、音の編集まで全部を自分達でコンピューター1台とビデオデッキだけでやっていました。 常に考えていたのはその音と絵のシンクロとか間の良さ、アニメーションは結局、時間の芸術ですから如何に気持ちの良い間を作るかだけを考えていました。それは今でも他の物を作る時も同じでなんです。今もアニメーションを作り続けていますが、アニメーターになるつもりは別 になくてその時が楽しいからやっているだけなんです。
 

次ぎに、 アニメーションを基礎にしたもうちょっとメディアアート的なものをご覧に入れたいと思います。アニメーションの世界の中に僕ら人間が入り込めたら面 白いだろうなーとある日思いまして、コンピューターを使 って作ってみました。スナップモーションと言うのがそのタイトルなんですが、 その会場は名古屋にあります。真ん中のスクリーンに、先ほどのアニメーション他何本かが流れるんですが、その右側のほうに縞縞のところが あります。人が入って顔を取り込むためのブースです。プリクラのように前にカメラが あり、それに顔を取り込むとコンピューターが似顔絵を作ってくれてアニ メーションの主人公の顔を全部置き換えてくれるという作品なのです。音もあります。コンピューターが今の女子高生の似顔絵を作ると見事に失敗してるんですが、猫のアニメーションの主人公の顔を、全部置き換えてくれます。 次はホームページ「うるまでるびのホームページ」を紹介したいと思います。僕らはその落書きが好きと何度も言っていますが、書くのが好きな訳です。発表する事って言うのは別 の努力がいるんですが、そのアーティストには、書く事や物を作 る事ということと世の中にお届けするということの多分二つの努力がいると思うんですが、その発表する努力と言うのが余り僕らは得意ではないと言うか、作ってしまうとわりとほったらかしにしがちで、それがホームページという発表手段というのがあるという事を知ったときに、作ったら直ぐ に出せるとか・・・・。人の間に人が居たりして、その人にも気を使わきゃいけないとか、そう言うことがなく出せると言うのがとても面 白くて、しかもさっきお見せしたアニメーションなどは、自主制作で勝手に作っているものですから何処にも発表していないん です。それをそのままホームページに置くだけで、みんなに見て貰えるというのが、とても良いなーと思いました。これがそのホームページです。 アニメーションとか、立体ものとかも置いてるのですが、ちょっとアニ メーションを見てみましょうか?
 
ここには、さっき鼻垂らしていたのがキャッ チに置いてありますが、下の方へ行ってもらうといろんなアニメーションが、 その場で見れるようになっています。
下のボタンを押すとですね、踊りのパターンが変わるんです。いろいろなインターラクティブなものを置いたりしています。あと立体作品なんかも置いてあるので、先ほどの粘土類はやはり勝手に作ってるんですがホームページに置いてます。ただ載せても面 白く無いので、ろくろの上にのせて360度写真を撮ります。 それをクイックタイムVRという技術を使うと、ろくろをクルクル廻すことが できるんですが、これをホームページに遊びに来た人が、自分でマウスを動かすことで、360度粘土作品を廻しながら楽しめるように、他にもコミックス であるとか、いろんな物が入れてあるので、インターネットに繋げる環境の方 は一度是非ご覧になって見て下さい。ホームページっていうのは、インターネ ットホームページ、一番重要なのは何だろうと考えると、日々更新していくことだと思うんですが、僕等そんなにいろんなこと出来ないんですが毎日やっ てる事って何だろうと思うと、やっぱり落書きだったので二人で落書きをしたものをそのまま垂れ流して見ようと思いました。今日の気分というのがその ページなんです。ほぼ毎日最低一枚の落書きをアップしています。絵日記ではないので、別 にその日にそう言う物を見たとか、その日にそう言う事をしたとかでなく、本当にその日の落書きをたれ流します。これがそのカレンダーなんですが、もう四年ぐらい続いています。四年も続けるとは自分達もビックリしてるのですが、一年続いたときにこんなに持続して物事をやるのは珍しいということで、そのご褒美に自分達で個展をやりました。一年間に書いた今日の気分の絵を全部プリントアウトして、ギャラリーの壁に全部貼って、貼るという展覧会だったんですが、その展覧会の会場でその日の気分をその場で書こうじゃない かと言う事になりました。今日持ってきているこのセットと同じものをギャラリーに持ち込んでライブでお絵かきをやりました。その時に書いたのが9月、これがそうなんですが、普段よりも全然下手くそだったりするんですけど、そのギャラリーの会場で、二人でお絵かきをしたのです。人が絵を描くのを見てもどうせつまんないだろうと思っていたんですが、それが意外にみんな面 白がってくれ、これは面白いかもしれないなと思うようになりました。考えてみるとミュージシャンにはそのスタジオワ ークというものと、ライブと言うものがある訳ですが、絵描きには、基本的にスタジオワークしかありません。特に他の人は知りませんが、僕等はそうでした。でも、絵描きエンターティーナーでもあるわけですから、ライブというものができないだろうかと考えるようになりました。
 

岩井俊雄氏(左) 、池田洋一郎氏(右)

●岩井:最初に出てくる作品なんですけども 僕が子供の頃に作ったパラパラ漫画です。先ず、これを見て頂きたいと思います。その当時、漫画を書いていまして、落書き見たいなもんなんですけど、蠅ちゃんというキャラクターがいて、その蠅ちゃんが仮面 ライダーの返信ポーズをして、他のキャラクターに変わるという作品、落書きですね。こんな事を子供の頃やっていたんです。大学の頃にも、学校にあった就職用のハガキの束を使って作ったことがあります。今考えると、もっと良いものに書いておけば良かったなーと思っています。大学側のコンピューターの初期の頃、プログラミングというのを習 い落書きだったパラパラ漫画を作品みたいにしてしまおうと作ったのが、このパラパラ漫画。英語でフリップブックと言ったほうが格好良いかなー。実は僕、インダーストリアルデザインを学んでいたのですけど、同時に実験アニメーションの世界に凄く惹かれて、フイルムビデオを使ってアニメーションを作り始めたんですね。アニメーションを作るのは、お金もかかるし時間もかかるので、もっと簡単に、いろんなアニメーションの楽しさっていうのを自分で実験できないかと思い出したのが、さきほど出てきたパラパラ漫画なんです。同時にアニメーションの歴史とか、映画の歴史についていろいろ本で調べ始めたんです。19世紀に発明された映画の先祖みたいな視覚装置みたいなものがあることが解って、それを使った作品も作り始めました。さっき出ていったのがおどろき版というものなのですけども、それから、今出ているのは、あのゾートローブという19世紀の150年前ぐらいに作られた装置で 、その当時は紙の帯に書かれた絵を動かしてみるための装置だったのですけども、僕の場合は紙粘土で作った人形をそのゾートロープの中に入れ、立体のオブジェ。それから次の作品は、19世紀のアニメーション番組みたいなものを発展させたものをさらに、大がかりにして作り始めたもので、テレビを一種のストロボ光源みたいな形で使って、ターンテーブルの上に立てられた紙の人形が、目の前で動き出すというものを作りました。音もあります。普通 、テレビというのは映像を見るものなのですけども、ここではテレビの画面をストロボのように点滅をさせて、一種の光源として使ってます。その光源が回転するオブジェを照らし出す事によって、19世紀のアニメーション玩具をさらに大がかりにしたような効果 ができる訳です。次は先程のものが平らな円盤の上に人形を立てたものに対して、透明なアクリルドームの中に紙で作ったアニメーションの動画を何百枚と取り付けて、それを目の前で動かす立体映像装置みたいなものを作りました。三つのドームの中に、それぞれ一応テーマーがあって、一つはこれ、今出ているのは動物。それか鉱物というか、無機物みたいなイメージで、もう一個は、植物のイメージがあります。パソコ ンを使って作曲みたいなことも始めたのですけども、自分で音楽を作曲してその音楽に合わせて、だんだんとストロボが変化していくというようなプログラムを作って、立体的なオブジェなんかも全部手作りの大がかりなインスターレション作品てなものを作っていました。
 

 
 

作った作品をただ見せるだけではなくて、例えばパラパラ漫画とか、ゾートロープみたいに自ら手を動かすことで、映像が変化したり、映像が動き出したりする面 白さに、より惹かれるようになりまして、パソコンを使って直接人が参加出来るような作品を作り始めたんですね。
この作品は 、インタラクティブを意識して作った作品なんですけども、8台のテレビにいろんなインターフェイス、これは回転できるハンドルみたいなものだとか、音センサーだとか、光センサーだとか、ビデオカメラだとか、いろんな形の、そのインターフェイスを同じ形のテレビにつけて、さまざまな人間と映像とか、人間と音を結びつけるということをやりました。これは、ビデオカメラを使ったものなんですけども、この作品の前に立った観客の姿がふたこま、コンピューターの中に取り込まれて、勝手にアニメーションになって動かされてしまうという作品です。だんだんタイミングが解ってくると、一種のパフォーマンスみたいなことが、僕の作品の前でできるという。最初の頃はなん何て言うか、絵とかそ う言うものを自分が作って、それを見てくれと言う感じでやっていたんですけども、ここではただの装置というか、システムだけになってしまって、中身に関しては観客任せのものがだんだんと増えてきました。これはテレビの番組の為にやったパフォーマンスみたいなものなんですけど、絵と音との関係みたいなものにも凄く興味を持ち始めて、CGで作った世界とそれからリアルな世界を結びつけるような仕事にも興味を持ち始めてました。これは、そのテーブルの上にスイッチが付いてるのですけども、そのスイッチを押すことで、ビデオ画像の上にコンピューターの画像が浮かびあがって、あたかもそれを使って映像と音を演奏しているような効果 をだしたものです。

このような作品をギャラリーや美術館なんかで展覧会として発表してたんですが、それとは別 にテレビの仕事をやってたんですね。だんだんとその僕のやってることが、一緒に組んでやっていたディレクターなんかが面 白いと言ってくれて、それでさっきのような実写の世界にそのCGを合成するっていうやり方を番組の中に取り込んで、新しい番組を作ろうじゃないかという話になって作り始めたのが、 今出ているフジテレビのアインシュタインという番組です。この頃、そのコンピューターを何というか、テレビ番組で使うというと、やっぱりそのCGが凄く高いものであるというイメージがあって、コマーシャルだとか、テレビの番組タイトルとか、そう言うものにしか使われなかったんですが、このアインシュタインから僕達が価格破壊みたいな事を起こしてしまって、毎週30分このときは毎週だったんですけども、30分間フルにそのCGが合成されてるようなそういう番組に取り組 みました。殆ど同じチームで、始めた番組がウゴウゴウルーガーで、さっきご紹介された子供番組です。アインシュタインは、毎週30分だったんですけど、このウゴウゴウルーガーからは毎朝30分、月曜日から金曜日なので週五日間ですけど、週30分を5本という、凄い殺人的なぺースで番組を作ることになって、それをどう実現するかといろいろ考えていくと実写 の子供達を合成して、どんどん番組を作るしかないというような考えに至って一生懸命、システムを考えたんですね。特に、アインシュタインは、一種のバーチャルセットみたいなものを本物のニュースキャスターの上に合成したのですけども、これはCGの部屋とキャラクターを作って、二人のウゴウゴ君とルーガーちゃんの子供達と楽しくお話をして遊ぶという、方向にだんだんと変わってきました。最初、このウゴウゴウルーガーというのは、ペースとし、毎週一日かけてスタジオで一週間分の収録をして、それを翌週編集して、放送するというペースだったんですけども、僕がCGとそれから実写 の子供達を合成するシステムっていうのを作って、それが凄く上手くいってですね、殆ど何て言うか、生で撮影をしてるような感じになったんですね。番組始まって半年位 経って、もしかしたら生放送が出来るんじゃないかという話にディレクターとなって、一週間だけ実験的に生放送に挑戦しました。今、出ているのはウゴウゴウルーガライブという形で放送したものの一部です。特に、ライブ性がある内 容にしようということで、ニュースや天気予報などの視聴者参加型のものということで、ガラリと変えて、 生でCGを合成してるよ!っていうものをやりました。だんだんと生に慣れてきて今度は毎週、夜に生をやることになったんですけども、その時に僕がまた新しく考え たのが、ジョークみたいなコーナーなんです。CG声相撲というコーナーで、子供達から好きな相撲の歴史とか、動物、ロボット、怪物、何でもいいんですけど、そう言うものを送ってもらって僕たちがスキャンをして、コンピューターの中で闘わせる。二歳と四歳の茨城と横浜に住む女の子が電話回線を使って闘かってるんですね。要するに電話に 向かって「のこったーのこったー」と言って声を張り上げると 声の大きさで、お互い押し合い、テレビ番組の中で遠く離れたところの子供達が闘う事が出来るという変なことをやりました。それから、確か93年の夏だったと思んですけど、ウゴウゴウルーガーの丁度絶頂期に僕が東京の板橋区立美術館というところから展覧会を頼まれたんですね。せっかくだから、そのウゴウゴウルーガーとそれから美術館との展覧会をドッキングさせてしまったミュージアムオンエアーという企画です。これは毎朝子供達が美術館に集まってきたのをその子達の中からオーディーションをしまして、夕方に生放送をするんですけども、その放送に出てくれる子供達を選びます。今、上と下のですね、8個の小さいウインドウにで ているのは、8人の子供達が生でアミーガーを使ってですね、書いてる絵なんですね。ここでこのシュール君、ウゴウゴ君、ルーガーちゃんは、 フジテレビにいるんですけど、そのフジテレビにいるメインキャラクターと美術館にいる子供達が、オンエアーで生で、会話を教えながら、お絵かきしたり、アニメーションを作ったりして紹介するとまた、美術館に来れない子供達の為に、ファックスを受け付けたんですけども、一週間で三千枚位 の絵が届くくらい凄く大好評で、美術館の展覧会と言うのが、一月ぐらいあったんですが、最初は空っぽだった美術館が子供達の作品によって、どんどん埋められていって、最後は空っぽだった美術館が子供達の作品でもう一杯になるというようなことを考えて、それの宣伝みたいな形で、今のウゴウゴウルーガーの生放送をやりました。ですから、最初はウゴウゴウルーガーと言う番組は、いわゆる普通 の最初に録画をして、それから編集して、放送するという形だったんですけども、だんだんと、その非常にインタ ーラクテティブ性の強いものに変わってきて、考えると今だとインターネットと言うものがあるので、双方向なインターラクティブ 性のあるものってをやるには、凄くやりやすい環境になっていると思うんですけ ども、この頃、僕達がやろうとしていたことって言うのは、 インターネットってみたいなものに、凄く通 じているのではないかと思います。
 

  ここからはですね、僕がこの何年か取り組んでいるその映像と音楽と融合と言う ことに関して、ご紹介したいと思うんですけども一番最初にお見せするのはミュージックインセクトという、一種のソフトですね、これは一種のお絵かきソフトなんですけども、下のパレットから色を選んで画面 の上に描くと画面の上にチョロチョロ動いているのは、音を出すミュージックインセクトという一種の虫なんですけども、この虫がその 色の上を通過したときに音をだします。それぞれの虫が違う楽器を 持っていて、それから色によって黄色ならば、「ド」だとか、緑だったら「ミ」とか、色によって音階が変わっていてだんだんと画面 の上に落書きしていくと、虫が色の上を通過する回 数が増えていくので、音がどんどん鳴るようになる。但し、今みたいに落書きしていても、単なる何て言うか、ノイズにしかならなくて、音楽的なものを作るための仕掛けと言うのがあって、今この白い線でこの赤い虫を挟みましたけども、この白い色は、虫を逆方向に進める色なんですね。この赤い虫は、ドラムの音を出すドラマーなんですけど、このドラムの虫を白い線で挟むとすると、簡単にドラムパ ターンが作れる。これは、明るいグレーなんですけども、この明るいグレーを 使うと、虫を右に曲げることが出来ます。四つ上手くグレー を使うと、メロディーパターンみたいなものが簡単に作れます。 その後、パソコン用にこのアイデアを、更に発展させて作ったのが、シムチューンというCDーROMで、これも何か会社の関係で今、売られているのかどうか よく解らないですけども、そういうものもあります。これは、虫の音を変える 場合は、今みたいにですね、虫の種類を選ぶのですね。キリギリスならキリギ リスの声だとか、コウロギならコウロギの音っていうのがありますけども、そんな感じで虫を取り替えると楽器が変わる。今、作ってた音楽を別 なサンプ リングボイス見たいな音に変えることも出来るという、そういうものです。もともとは、サンフランシスコにある、エクスプロラーアトリアム科学博物館ありまして、そこで作った何て言うか、こう点字の一つなんですね、それを元に発展させてソフトウエアーとして出したものです。ステージの上にピアノと言っても、ただピアノでは無くてですね。 コンピューターにデーターが出てくるというか、ピアノを弾くとピアノの鍵盤を弾いたときのタイミングだとか、それから弾いた強さだとか、音の長さだとかですね、そう言うものがデジタルデ ーターとして出てくる、ミディピアノというものがありまして、データーを元に映像を創り出す事をやりました。ステージの上に、二台のコンサート用のピアノが置かれていまして、その一台を坂本さんが弾いてる訳ですけど、その坂本さんが弾くリアルタイムのデーターを僕の作ったプログラムによってリアルタイムに視覚化するというものです。
 
それから、これも同じコンサートの中の別のパーツなんですけども、ここでは、 坂本さんがステージに登場しますが、直接ピアノを弾きません。その代わりに、 ステージの上に小さなビデオカメラがあって、そのビデオカメラの前で体を動 かす、そのビデオカメラから入ってきた坂本さんのシルエットがデジタル化されてスクリーンの上に映ります。そのスクリーンに映った映像のある一部が、常にコンピューターによってスキャンされていて、それによってピアノを鳴らすという、そういう仕掛けです。それによって坂本さんは直接、あのー ピアノを弾くわけではないんですが、要するに、自分の体を通 じて坂本さんの体の動きがそのまま、何て言うか、ビデオ映像に先ず変わって、そのビデオ信号が今度はデジタル化されてピアノを鳴らすす。そのピアノの音を聞 きながら、またスクリーンの上の映像を見ながらですね、坂本さんがまた体を 動かすみたいな、要するに、通常ではあり得ないような、その、ピアノを使っ た、何て言うか、音 音のパフォーマンスみたいなことをやってみた訳です。 それから、これも別のパーツですけども、これは、ピアノとピアノの間に、一 種のチェス板みたいな、碁盤の目みたいなものが映像に出ていまして、そこに僕と坂本さんで、交互に光の線を置いていきます。ステージの上にマウスが一個だけあってですね、その一個のマウスを二人で交互に使って順番に、何て言うか、囲碁の対局みたいな形で、光の点をこのチェス板の上に置いていく、それが二代目のピアノを鳴らすわけですね。ですからここでは音楽家としての坂本龍一さんと、それから一応映像側の作家の僕が、二人で完全にコラボレーション、同じ土俵に立って映像と音楽を創るというような事をやっ ています。このパートの最後のほうでは、二人で創り上げたこのミニマルっぽ いパターンをもとにですね、更に僕は映像のほうを変化させていき、坂本さん は、自分のピアノに戻って今創り上げたパターンの上に、インプロビゼーショ ンで、即興で演奏を加えることまでやりました。
 
このコンサートの途中でインターネットを使った実験をやったんですね。このコンサートの最初から最後までイン ターネットを使ったインターネットライブ見たいな形の中継をやってたんで すけども、普通 インターネットライブというと単にライブの模様を画質の悪いテレビみたいな形でですね。インターネットを使って放送するだけって普通 なんですが、せっかくインターネット自体が不双方向のメディアなのでそれを活かしたインターネットでライブを見ている人もライブ に参加出来る仕掛けを考えてみました。それは坂本さんがピアノを 弾くと鍵盤に対応した1〜88の数字がこの画面 に 投影されます。この画面の画質の悪いようなのをですね、インターネットの向 こう側でパソコン上でリアルビデオとかを使って見てるわけですね。このパートのために蛇場を使ったスペシャルプログラムみたいなものを作りまして、 この坂本さんが弾いた音が聞こえて、絵が見えたら同じ数字を打ち込んでく れというふうに言いました。今、一番という数字を言ったのでそれがこの時60人位 ですね、アクセス、参加をしてたんですけども、その人達が 今、1がきたからよし1を入れよう、一生懸命に1を入れているわけですね。
(88です。えっ!もうきている。動いてます。例えば1〜10までのそういうのやります・・・1から)
1・8ときて次は1〜10 までですから、何十人かの人が1〜10のどれを入れても良い訳ですから、ランダムに1〜10までの数字が届いてピアノの一番下の10個の鍵盤が演奏される。ピアノの一番下の方が・・時々なんか別 な音が入ったりするという、あまのじゃくな人が居る。
最後は60何人かので すね、顔も見えないそのインターネットの向こう側で見ている。見てデーターを送ってる人達とこのコンサートの中にいる坂本さんがセッションをするところまでやりました。逆に何か、面 白かったのは、ここの会場に来ている600人の観客というのは、もう一切参加出来ない訳ですから、指を加えて見ているだけってそう言う感じです。 最初は自分で絵を描いて人に見せると言う形で、アニメーション作ったりしてですね、 作品を作っていたのですけども、だんだんともっと何て言うか、人がどう映像と 関わり合ったり、どう音楽と関わり合ったら面白いかという、そのシステム自 体に凄く興味を持ち始めて、最近はそんな仕事ばかりしています。その辺のお話は、また後で、どうもありがとうございました。
 
(セミナーでの発言から一部を抜粋して掲載しています)
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